【キングジム】文具事務用品の“雄”~積極的なM&Aで「暮らし」全般にフォーカス

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キングジムの本社ビル(東京・東神田)

インテリアライフスタイル関連に照準

今や売上高100億円を目前にするインテリアライフスタイル事業だが、その成長の原動力となったのはM&A。2001年に室内装飾雑貨製造の長島商事(現ラドンナ、東京都江東区)を子会社化したのを手始めに、周辺分野で買収を段階的に進めてきた。

ラドンナではキッチン雑貨・時計、デジタル雑貨(デジタルフォトフレームなど)のほか、かき氷器やファンといった季節商品を取り扱う。

2008年に傘下に収めたのが造花・雑貨販売のアスカ商会(名古屋市)。同社は国内の造花市場で「asca」ブランドで知られている。オフィスや公共スペースの装飾需要に対応し、さまざまなグリーン・人工観葉商品を品ぞろえする。

2014年にはオリジナル家具のインターネット通販会社、ぼん家具(和歌山県海南市)をグループに加えた。ここへきて巣ごもりやテレワーク需要の収納用品やデスク・チェアで販売を伸ばしている。ぼん家具の買収金額は約21億円だったが、これを大きく上回るのが今回のライフオンプロダクツの子会社化(11月4日付)だ。

ライフオンプロダクツは2003年に設立。グリル、ケルト、加湿器といった生活家電から、抗菌・除菌・消臭関連、ハンモック、テント、自転車などのアウトドアまで幅広い商品を独自ブランドで展開している。直近売上高は42億円で、この2年で倍増した。本業のもうけを表す営業利益も7億4800万円と、収益力も申し分ない。

キングジムは同社を取り込むことで、インテリアライフスタイル事業の商品構成がぐっと厚みを増す。中計初年度の2022年6月期への寄与はやや限定的だが、次年度以降は業績をフルに押し上げる見込みだ。

昨年1月には工場や医療・介護の現場で使わる作業手袋を製造するウインセス(高松市)を子会社化した。ニッチな製品分野ながら、グループの既存事業との相乗効果を期待している。

グローバル展開へ海外M&Aも視野に

成長分野と位置付けるのはインテリアライフスタイル事業だけではない。

例えば、既存の文具事務用品事業でいえば、新型コロナの流行に伴う新しい生活様式に対応した衛生・健康用品の開発力が一層求められている。ワークスタイルの変化に合わせたデジタル文具、かわいらしさを強調した「女子文具」などの拡充も引き続きテーマとなる。シニア市場向けの新ブランド「arema(アレマ)」も立ち上げたところだ。

新中計では海外事業がキーワードの一つ。アジアに加え、欧米市場の開拓に力を入れ、日本発のキッチン家電や女子文具のグローバル展開を目指す。

中計で掲げた目標をどう実現に導くのか。ポストコロナを見据え、事業の成長スピードを加速するうえでは国内にとどまらず、今後、海外でのM&Aも視野に入ることになりそうだ。

主な沿革
1927 「名鑑堂」の屋号で創業。人名簿、印鑑簿を発売
1947 ルーズリーフ、バインダー、各種ファイル類を生産発売
1948 個人経営から会社組織に改組
1961 キングジムに社名変更
1987 株式を店頭登録
1996 初の海外生産拠点としてインドネシアに化成品ファイルの製造会社を設立
2001 東証2部上場(2005年に東証1部)
室内装飾雑貨類製造の長島商事(現ラドンナ、東京都江東区)を買収
2003 時計の企画開発を手がける合同(現ラドンナ)を買収
2008 造花・雑貨販売のアスカ商会(名古屋市)を買収
2011 「キングファイル」シリーズ、累計販売5億冊を突破
2014 家具のインターネット通販会社、ぼん家具(和歌山県海南市)を買収
2018 ラベルプリンター「テプラ」累計販売台数1000万台を突破
2020 作業手袋製造のウインセス(高松市)を買収
2021 (11月)生活家電、雑貨企画・販売のライフオンプロダクツ(大阪市)を買収

文:M&A Online編集部

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