【あみやき亭】コロナ禍越えに一役買うM&A
焼き肉チェーン店のあみやき亭がコロナ禍前の状態に戻る見通しとなった。同社は2024年3月期に売上高346億円(前年度比21.2%増)、営業利益18億円(同4.26倍)を見込む。
通販事業に続く柱は呉服関連、プロパティ(不動産、ホテルなど)、データベース活用(封入・同送、通販代行サービスなど)の各事業だ。売上規模(2023年3月期)は順に238億円、199億円、157億円。
実は、ベルーナとして過去最大のM&Aに取り組んだのは呉服関連。2018年、きもの専門店「さが美」を運営するさが美グループホールディングスにTOB(株式公開買い付け)を行い、子会社化した。買収金額はおよそ60億円。
ベルーナは2006年に子会社を設立して自前で和装・和雑貨の店舗販売に進出。和装初心者でも求めやすいカジュアルなきものが人気を集め、業績を伸ばしてきた。中価格帯を主力とし、ブランド認知度が高いさが美を取り込むことにより、相互補完が期待できると判断した。「さが美」の店舗は現在全国に約80を数える。
また、2016年には大学生の卒業式袴レンタルなどを手がけるマイム(東京都杉並区)を傘下に収め、呉服関連事業のすそ野を広げた。
ベルーナの2023年3月期業績は売上高3.5%減の2123億円、営業利益19%減の112億円、最終利益27%減の74億円。8期ぶりの減収で、営業、最終とも2期連続の減益だった。第5次経営計画の初年度だったが、出鼻をくじかれる形となった。
コロナ禍の最中の2021年3月期は売上高、各利益項目のすべてで過去最高を達成した。売上高は一気に約260億円増え、初の2000億円台に乗せた。しかし、コロナ禍の落ち着きに伴い、巣ごもり需要がすぼみ、足元の業績には停滞感が漂う。
◎ベルーナの業績推移(単位は億円)
2021/3期 | 22/3期 | 23/3期 | 24/3期予想 | |
売上高 | 2064 | 2201 | 2123 | 2190 |
営業利益 | 157 | 138 | 112 | 140 |
最終利益 | 110 |
102 |
74 |
94 |
とはいえ、M&Aの手綱を緩める気配はない。過去10年を振り返り、ベルーナがM&Aに無縁だった年は一度もない。
今年も3月末、傘下企業を通じて、地熱発電事業の最上ジオエナジー(東京都江東区)の出資持ち分94.9%を取得し、子会社化した。再生可能エネルギー関連の事業拡大を目的とし、18億8000万円を投じた。最上ジオエナジーは山形県最上町で地熱発電計画を着手し、2025年をめどに発電開始を予定する。
ベルーナはプロパティ事業の1つとして再生可能エネルギー事業に取り組んでいる。これまで栃木県、埼玉県、群馬県で太陽光発電に関わっているが、新たに地熱発電に進出する。
現行の第5次経営計画の最終年度の2025年3月期に売上高2610億円、営業利益226億円を掲げる。そのうえで中長期方針として売上高3000億円、営業利益300億円の実現を見据えている。
ECが牽引する形で通販市場は今後も成長が見込まれる。一方で、ネット専業、テレビ通販はもとより、家電、衣料品といった流通大手が自社で通販サイトを開設するなど、垣根を超えた競争が激しさを増している。
ミセス層を顧客の中核とするベルーナとして、激戦をどう乗り越えるのか。新たな通販ジャンルの開拓や、若い年代層の取り込みに動くのか。M&A戦略の行方とも連動するだけに、要ウオッチといえそうだ。
◎ベルーナの歩み
年 | 主な出来事 |
1968 | 埼玉県上尾市で印鑑の訪問販売、友華堂として創業 |
1977 | 株式会社友華堂を設立 |
1983 | 衣料品の通信販売を開始 |
1986 | 総合カタログ「ベルーナ」を創刊 |
1990 | ベルーナに社名変更 |
1994 | 株式を店頭登録 |
2000 | 東証1部上場(2022年4月から東証プライム) |
2006 | きもの・和雑貨のBANKANと、わものやを設立 |
2007 | 看護師衣料・用品製造のナースリー(栃木県足利市)を子会社化 |
2013 | 看護師通販のアンファミエ(大阪市)を子会社化 |
2014 | ベビー・ギフト通販のベストサンクス(大阪市)を子会社化 |
〃 | 韓国子会社で貸金業のベルネットクレジットカンパニーリミテッドを現地社に譲渡 |
2015 | キッチン用品などEC通販の丸長(静岡県三島市)を子会社化 |
〃 | BANKAN、わものやを合併し、BANKANわものや(埼玉県上尾市)を発足 |
2016 | 衣装レンタルのマイム(東京都杉並区)を子会社化 |
〃 | アパレルEC通販サイトのミン(愛知県刈谷市)など3社を子会社化 |
2017 | スリランカの不動産開発会社LAKE LEISURE PVT. LTD.を子会社化 |
2018 | 着物専門店のさが美グループホールディングスをTOBで子会社化 |
〃 | アンファミエとナースリーを合併し、ナースステージ(大阪市)を発足 |
2019 | 輸入ブランド品EC通販のアイシーネット(東京都八王子市)を子会社化 |
2020 | 医療機関向け人材サービスのシンガポールJOBSTUDIOを子会社化 |
2021 | レディースアパレルEC通販のセレクト(大阪市)を子会社化 |
2022 | DM発送代行、国内物流代行などのレーベルグループ(東京都千代田区)3社を子会社化 |
2023 | 3月、地熱発電の最上ジオエナジー(東京都江東区)を子会社化 |
文:M&A Online
焼き肉チェーン店のあみやき亭がコロナ禍前の状態に戻る見通しとなった。同社は2024年3月期に売上高346億円(前年度比21.2%増)、営業利益18億円(同4.26倍)を見込む。