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ビットフライヤーを買収すると報じられたACAグループとは?

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ビットフライヤーの本社があるミッドタウン・タワー(東京都港区)

コインチェックの後塵を拝するビットフライヤー

ビットフライヤーはコインチェックと並び日本トップクラスの取引量を持つ暗号資産取引所。元ゴールドマン・サックス証券の加納裕三氏と小宮山峰史氏が共同創業者となりました。日経新聞によると、保有比率は加納氏が約40%、小宮山氏が13%強。ビットフライヤーは2017年4月に積水ハウス<1928>と共同で不動産情報管理システムの構築を開始していました。積水ハウスも約13%の株式を保有する大株主です。

ビットフライヤーの経営は混迷を深めていました。2022年3月30日に林邦良社長が辞意を表明。林氏は2021年3月に社長に就任したばかりでした。関正明取締役が社長に就任します。2020年3月に平子恵生氏、2021年3月に三根公博氏が退任していました。わずか2年で3度目の社長交代となっています。

林氏は1994年にゴールドマン・サックス証券に入社した加納氏の元上司。社長就任後に加納氏との関係が悪化したと報じられています。

2022年3月マネックスグループ<8698>はコインチェックを、SPACを活用して米ナスダック市場に上場させると発表しました。コインチェックは2018年1月に580億円の仮想通貨流出事件が発覚し、金融庁から業務改善命令を受けました。その年の4月にマネックスグループが36億円で買収していました。

コインチェックは一度社会的な信用を失ったものの、マネックスグループに入ってからの立ち直りは早く、上場へと漕ぎつけることができました。ビットフライヤーもかつて上場観測が出ていたものの、経営体制の混乱から後れを取っています。

コインチェックは2021年3月期の売上高に当たる営業収益が前期比5.5倍となる208億2,500万円となりました。2021年の仮想通貨ブームで取引が活発になりました。ビットフライヤー(2020年12月期)の営業収益はコインチェックに抜かれています。ビットフライヤーは業績面でも遅れを取りました。

■ビットフライヤー業績推移(単位:百万円)

2018年12月期 2019年12月期 2020年12月期
営業収益 14,085 5,341 7,555
純利益 2,146 -751 427
純資産 15,898 15,146 14,968

※ビットフライヤー「事業報告」より

■コインチェック業績推移(単位:百万円)

2019年3月期 2020年3月期 2021年3月期
営業収益 2,115 3,814 20,825
純利益 -2,743 285 10,305
純資産 2,540 2,827 13,150

※コインチェック「貸借対照表・損益計算書」より

報道されている通りACAが加納氏以外の株主から株式を取得するのであれば、気になるのはエグジット。

加納氏はTwitter上で単独での特別決議の拒否権を持っていると発言しています。非上場企業の場合、第三者割当増資は株主総会の特別決議(過半数の株式を有する株主が出席し、その3分の2以上の賛成を得ること)による承認が必要です。特別決議を経ない第三者割当増資は無効となります。つまり、増資によって加納氏が保有する株式の希薄化を狙うことができないのです。

もちろん上場もできません。定款変更も不可能です。

ACAがビットフライヤー株を取得した後に加納氏と良好な関係を築いて経営を正常化。IPOまたは売却するというのが最もきれいな着地でしょう。しかし、度重なる社長交代に見舞われているビットフライヤーに、そのシナリオは難易度が高そうです。そうかといって対立姿勢を保ったままでは、ACAが取得した株式を別の会社に売却することも簡単ではないでしょう。買い手が限られるためです。

ACAがどのような青写真を描いているのか。注目が集まります。

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