大手の参入でハードル下がる「仮想通貨」 アプリでの取引も
仮想通貨を巡る動きが慌ただしくなってきた。価格が低迷し、関心が薄れている仮想通貨だが、BtoBマーケットが充実していく兆候があるとの声もあり、2019年はさまざまな動きが表面化しそうだ。
米フェイスブックが仮想通貨事業に参入する。とはいってもビットコインなどのように価格が乱高下するタイプではなく、ドルや円などの法定通貨と一定比率で交換できる「ステーブルコイン」と呼ばれるもの。
銀行口座などの実物資産が裏付けとなっているため価格が安定しており、スマートホン利用者間の送金や、買い物の決済などで使用ができるという。
現在、海外への送金は時間とコストがかかる。このため日本では金融機関などがブロックチェーン技術を用いた低コストの国際送金実験などを行っているが、実用化には時間がかかりそうだ。
利用者が全世界で20億人を超えるフェイスブックで国際間送金が低コストで利用できるようになれば、金融機関に与える影響は大きい。フェイスブックは果たして日本でそのようなビジネスを展開できるのか。
日本で仮想通貨を取り扱うためには日本仮想通貨交換業協会の会員に登録する必要がある。現在事業を行っている仮想通貨交換業は19社あり、申請中の企業が7社ある。
フェイスブックが発表した仮想通貨リブラは、仮想通貨には当たらないため、日本仮想通貨交換業協会の会員に登録する必要はないとの見方が一般的だが、その一方で仮想通貨と円との交換を行うため交換業者でなくてはならないとの見方もある。
日本の仮想通貨は2018年1月26日にコインチェックによる580億円分もの仮想通貨ネムの不正流出事件の発生を受け、金融庁が立ち入り検査を実施するなど業界の健全化に取り組んできた経緯がある。
2018年3月2日には利用者の利益の保護などを目的に、日本仮想通貨交換業協会が発足するとともに、ヤフーやマネックスグループなどの大手企業による中小交換業者のM&Aなども相次ぎ、マネーロンダリングやテロ資金の調達などの問題に取り組める現在の体制ができ上がった。
フェイスブックが日本仮想通貨交換業協会の会員に登録するのであれば、金融庁の審査などで時間がかかるが、2018年前半にのようにM&Aを行うのであれば、すぐにでも日本で仮想通貨交換業を開始できる。
フェイスブックはスイスにクレジットカード会社のビザやマスターカードをはじめ、タクシー・ハイヤー配車サービスのウーバーテクノロジーズなど30社ほどが参画するリブラ・アソシエーションを立ち上げており、2020年にリブラを使った金融事業を始める計画。
一旦落ち着いた日本の仮想通貨交換業業界に、まさに黒船来航となるのか。フェイスブックの動向から目が離せない。
文:M&A online編集部
仮想通貨を巡る動きが慌ただしくなってきた。価格が低迷し、関心が薄れている仮想通貨だが、BtoBマーケットが充実していく兆候があるとの声もあり、2019年はさまざまな動きが表面化しそうだ。
テックビューロは「Zaif」をフィスコへ事業譲渡を予定しており、譲渡後に仮想通貨交換業の登録を廃止し解散する。譲渡期限までに顧客が承認しない場合、仮想通貨の返還が不能になるおそれがあるという。
仮想通貨交換業者に追い風が吹き始めた。金融庁による立ち入り検査や行政処分などが一段落し、新たな仮想通貨交換業者の登録作業が動き出したためだ。日本の取り組みが世界から注目を集めそうだ。