前代未聞の原子力発電所攻撃に世界は震え上がった。ロシア軍が3月4日未明(日本時間同日午前)にウクライナのザポロジエ原発を攻撃。同原発は発電出力世界3位。さらに規模が大きい原発が攻撃を受けると、甚大な被害が出る。では、ザポロジエ原発よりも大規模で、テロや軍事攻撃にさらされると「危険な原発」はどこにあるのか?
ザポロジエ原発の出力は6000メガワット(MW)。ウクライナはもちろん、欧州でも最大出力の原発だ。ウクライナのクレバ外相は「原子炉本体が破壊された場合、チェルノブイリ原発の10倍以上の被害が出る」と警鐘を鳴らした。
それを上回る規模の原発がテロや軍事攻撃を受けたら、被害はさらに広がる。第2位はカナダのブルース原発(オンタリオ州)で、出力は6580MW。そして第1位は東京電力ホールディングス<9501>の柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市)で、出力は8212MWと群を抜けて大きい。
ザポロジエ原発との単純な出力比較だと、ブルース原発がチェルノブイリ事故の11倍、柏崎刈羽原発が14倍の被害が生じる可能性がある。福島第一原発事故どころではない。北朝鮮にとっては偏西風で放射線の影響が小さいと想定されるだけに「選択肢」として俎上(そじょう)には上るだろう。
柏崎刈羽原発は、ミサイル発射実験を繰り返している北朝鮮に近い場所にある。北朝鮮と日本海をはさんで対峙(たいじ)しており、実際に原発がある柏崎市でも、工作員が上陸して日本人を拉致した事件があった。つまりロシア軍同様に、北朝鮮の正規軍や特殊部隊などによる原発攻撃は起こりうるのだ。