山口県岩国市が最悪の「コロナ感染ホットスポット」となった理由

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岩国基地は事実上の米国であり、米軍関係者は検疫なしに日本への出入りが可能だ。

山口県岩国市の新型コロナウイルス新規感染者数が1月6日に81人を記録した。総人口の0.062%、東京都に当てはめると8676人という猛烈な感染拡大だ。なぜ、岩国市でここまで感染が拡大したのか?

米軍駐留地でもコロナは限定的だったが…

米軍基地とコロナ禍の関係はオミクロン株の流行以前にも指摘されていた。沖縄県は過去の感染拡大でも大流行を繰り返しており、緊急事態宣言の対象地域にもなっていたからだ。しかし、同じ米軍の海兵隊基地を抱える岩国では、2020年4月に全国一律で実施された以外の緊急事態宣言は適用されていない。

過去に沖縄と比べて岩国の米軍基地からの感染拡大が比較的少なかったのは、それぞれの基地の事情による。沖縄には米陸海空軍と海兵隊を合わせて約2万5000人の米兵が駐留するのに対し、岩国基地は約3000人と8分の1に過ぎない。

さらに岩国には感染クラスターが発生しやすい、米兵向けの歓楽街がない。1970年代までは基地周辺に歓楽街が存在していたが、ベトナム戦争後の兵員削減と円高で米兵の客離れが進み、現在は数軒が残る程度だ。

そのため岩国では沖縄と比べると市民と米兵との接触機会が少なく、過去の感染拡大期には大きな影響を受けなかった。しかし、オミクロン株は少ない接触機会でも容易に感染する。

岩国で地元住民と米兵やその家族との交流は盛んではないが、ホームセンターや100円ショップ、回転寿司店、低価格の外食チェーン店などで彼らを見かけることはしばしばあり、接触する機会はある。


さらに地元に大きな歓楽街がないことから、鉄道で1時間かからない政令指定都市の広島市へ繰り出す若い米兵も少なくない。広島でも「(岩国基地と)関連のある感染例が多く認められる」(湯崎英彦広島県知事)のもそのためだ。

年末にはコロナ禍で運休中だった岩国−沖縄便の運行も再開され、感染拡大に拍車をかけた。日米地位協定により米軍基地内は事実上の米国であり、米兵とその関係者は検疫なしに「出入国」ができる状況だ。空港での水際対策も意味がなくなってしまったと言える。

文:M&A Online編集部

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