「オミクロン株」流行に伴う入国禁止で南アフリカが反発した理由

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各国の渡航禁止は「差別的」と反発した南アフリカのラマポーザ大統領(Photo By Reuters)

「不当で非科学的かつ発展途上国を苦しめるもので、大きく失望した」南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領は11月28日、日本や米英、欧州連合(EU)、イスラエル、モロッコなどがオミクロン株の流行に伴って実施した南アを含むアフリカ南部諸国からの渡航制限を批判した。南アにしてみれば「とんでもない!」対応だったのだ。なぜか?

南アは最初に「発見」しただけ

そもそも南アは新型コロナウイルスのゲノム解析により、世界に先駆けてオミクロン株を発見して世界に警告を発した国だ。公表した結果、世界中から「出入り禁止」処分をくらってはたまらないというわけだ。そもそもオミクロン株が南アで最初に発見されたのは事実だが、同国で発生したかどうかは分かっていない。

たとえばオランダでは南アの発見よりも早くオミクロン株が存在していたことが知られている。だからオランダで発生したと判断するのも早計だ。どの国もすべての感染者のウイルスについてゲノム解析をしているわけではない。たまたまゲノム解析の結果、発見されたわけで、その時点ではすでに感染が拡大している可能性が極めて高い。

世界保健機関(WHO)のマシディソ・モエティアフリカ地域事務局長が「オミクロン株が世界の複数地域で発見されている今、アフリカを標的とした渡航制限は世界の連帯を攻撃するものだ」と声明を出したのもそのためだ。つまり、今さら国境を封鎖しても意味はなく、国内に侵入したという前提で感染対策を講じることが最も重要だということだ。

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