政府は11月26日の臨時閣議で、新たな経済対策などを盛り込んだ2021年度補正予算案を決定した。中小企業関係は3兆8694億円を計上し、事業再構築補助金の補助率引き上げや特別枠設定などに踏み切る。また、事業承継などを後押しする生産性革命補助金と事業再編・再生支援も手厚くする。
事業再構築補助金には6123億円を投入。新型コロナウイルスの影響で2020年4月以降の売上高が10%以上減少した中小企業などに対し、新分野展開や業態転換などの事業再構築に必要な設備投資費用などを補助(上限額8000万円)するもので、コロナ前と比べた売上高の減少要件を一部緩和して使い勝手を向上させる。
さらに、売上高が30%以上減少するなど引き続き業況が厳しい事業者、事業再生に取り組む事業者に向けた特別枠として、補助率を最大4分の3とする「回復・再生応援枠」を設ける。売上高の減少要件を撤廃した「グリーン成長枠」も創設し、補助上限額を1億5000万円に引き上げる。
事業承継・引継ぎ補助金などを一体的に運用している生産性革命補助金には2001億円を充てた。最大600万円を補助する事業承継・引継ぎ補助金については、年間を通じた機動的かつ柔軟な支援を展開できるよう環境を整える。
持続化補助金には、後継ぎ候補者が実施する新たな取り組みや創業を支援する「新陳代謝枠」を設け、最大200万円(補助率3分の2)を補助する。
このほか、事業再編・再生支援(757億円)では事業再生支援ニーズの高まりに応じ、2021年度中に中小企業の私的整理などのガイドラインを策定。官民連携のファンドや中小企業再生支援協議会の支援体制も拡充する。
補正予算案の一般会計総額は過去最大の35兆9895億円で、新たな経済対策には31兆5627億円を計上。このうち、新型コロナの感染拡大防止に18兆6059億円、岸田文雄首相が掲げる「新しい資本主義」の政策に8兆2532億円を配分する。政府・与党は12月6日召集の通常国会に補正予算案を提出し、年内の成立を目指す。
文:M&A Online編集部
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