トップ > ビジネスと経済 > 政治・経済 >新型コロナ会見で耳慣れない「オーバーシュート」が使われた理由

新型コロナ会見で耳慣れない「オーバーシュート」が使われた理由

※この記事は公開から1年以上経っています。
alt

「パニック回避」それとも「行動変容を訴えた」

つまり「オーバーシュート」とは、人間の意思決定に伴って変動する現象における異常値を指す言葉であり、自然発生したウイルス感染で使うのには違和感がある。なぜ専門家会議で、本来は金融・証券用語、広く見ても経済用語だった「オーバーシュート」を使ったのか?

考えられる理由は二つある。一つは一般に知れ渡り映画のタイトルにもなった「アウトブレイク」を使うと、一般市民が感染症拡大に過剰反応してパニックを起こす可能性があるため、あえて耳慣れず穏当に聞こえる「オーバーシュート」を使った。

もう一つは人間の意思決定が今後の感染拡大を大きく左右するという警鐘を込めて、あえて「オーバーシュート」を選んだ可能性もある。専門家会議では市民の行動を変えて感染の広がりを抑える「市民の行動変容」をCOVID-19対策の基本方針の一つとして掲げている。

専門家会議は「換気の悪い密閉空間を避ける」「多くの人と密集しない」「近距離での会話や発生を抑える」の行動変容があれば、感染拡大による重症化を食い止められると呼びかけた。こうした市民の行動変容が徹底されずに感染が爆発的に拡大すれば、文字通り人間の意思決定や行動によって引き起こされた「オーバーシュート」と言えるだろう。

文:M&A Online編集部


NEXT STORY

アクセスランキング

【総合】よく読まれている記事ベスト5