新型コロナワクチン開発を発表するも株価乱高下のアンジェスとは

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増資による株式需給面の不安で株安に

さて、このご時世で「追い風」となるはずのワクチン開発を発表した直後にアンジェスの株価が下がってしまった原因だが、どうやら「本業」ではなさそうだ。

同2月17日にフィリップス証券を割当先とした第三者割り当ての新株予約権発行を発表するなど、株式需給面に難点を抱えているためとの見方が強い。同社は上場以来、昨年までに約320億円の増資を実施してきた。

今回調達した資金は「パイプライン」と呼ばれる新薬候補の拡大や遺伝子治療製品の原薬製造委託費用などに用いられるが、先行投資の性格が強く、短期的な収益につながらないことから株価が下落。同28日には終値で388円と、2019年1月4日につけた年初来安値の347円に迫った。

現在は500円台前半で推移しているが、懸念されるのはアンジェスの業績。同社の2019年12月期決算は売上高3億2600万円、営業利益△32億7000万円、経常利益△32億9300万円、当期純利益△37億5000万円で、2020年12月期も「コラテジェン」の売り上げが寄与するものの、同薬の適応症を広げるための臨床試験費や米国での治験準備費を計上するため赤字が続く見通しだ。

株式市場で同社の業績が回復するとの見方が広がらなければ、株価の大幅な上昇は厳しいだろう。一方でバイオ製薬では、ヒット医薬品が出れば業績が急上昇するのも事実。度重なる増資や赤字決算にもかかわらず、今回の新株予約権発行では同3月4日に7312万円の払い込みが完了し、約93億6700万円もの資金調達の道筋をつけた。アンジェスへの期待は大きい。

文:M&A Online編集部

【お詫びと訂正】本文中「今回の新株予約権発行では同3月4日に約93億6700万円の払い込みが完了した」とありましたが、正確には「今回の新株予約権発行では同3月4日に7312万円の払い込みが完了し、約93億6700万円もの資金調達の道筋をつけた」でした。お詫びして訂正します。

M&A Online編集部

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