中華まんの販売不振で中村屋が2020年3月期に営業赤字に転落する。同社がホームページで公開している決算短信によると2003年3月期以降では初めての赤字となる。中華まんは冬場が主力の商品で、今年は暖冬の影響で売り上げが伸び悩んだ。 

当初7億5000万円の黒字予想だった営業損益は12億円の赤字に、経常損益も8億6000万円の黒字から10億7000万円の赤字に陥る。当期利益は固定資産の売却益を見込んでおり、5億7000万円から2億円に減少するものの黒字は確保する方針。 

売上高は当初の406億9000万円(前年度比5%増)から368億円(同5%減)と増収から一転減収に転じる。 

中村屋は2019年度を初年度とする3カ年の中期経営計画「中期経営計画2021」で、差別的優位性のある中華まんを供給し中華まんビジネスの競争力を強化するとしているが、初年度から出鼻をくじかれた格好だ。 

中華まんが収益の柱 

中村屋は1901年に東京・本郷でパン屋として創業、1904年にクリームパンを創案したあと、1927年に中華まんを投入しており、中華まんに関しては90年以上の歴史を持つ。2019年には埼玉県入間市に中華まんの工場見学施設「中華まんミュージアム」をオープンするなど中華まんにかける思いは強い。 

中期経営計画2021では「売上高の拡大と生産性向上・効率化推進による収益力の強化」を掲げており、具体的な施策として中華まんの競争力強化をはじめ、中華まんなどの生産機能の再編による稼働率の向上などに取り組むとしている。 

2019年3月期の売上高のうち、中華まんや和菓子、和生菓子、米菓、袋菓子、洋焼菓子、クッキーなどの菓子事業が全体の76.1%、業務用のカレーやボルシチ、ビーフシチューなどの調理缶詰などの食品事業が同22.5%、不動産賃貸事業が同1.4%を占めており、中華まんなどの菓子が収益の柱となっていることが分かる。 

固定資産の売却と並んでM&Aも 

菓子・食品業界では消費者の節約・低価格志向が続く中、人件費や物流費の上昇や、異業種企業の新規参入などもあり厳しい経営環境下にある。中村屋も業績は悪化傾向をたどっており、2020年3月期は3年連続の減収減益となる。 

2019年には、1991年に子会社化したフィットネス事業を手がけるエヌエーシーシステムを経営の合理化を目的に日新製糖に全株式を譲渡した。固定資産の売却と並んで、今後事業譲渡などのM&Aの可能性もありそうだ。

中村屋の沿革と主なM&A
1901東京・本郷にパン屋として創業
1904クリームパン創案
1909和菓子の販売を開始
1920洋菓子の販売を開始
1923社名を中村屋に変更
1927純印度式カリー、中華まん、月餅を発売
1973黒光製菓を子会社
1977ハピーモアを子会社
1991エヌエーシー(現エヌエーシーシステム)を子会社
2019エヌエーシーシステムの全株式を譲渡
2019中華まんミュージアム開館
中村屋の売上高推移。2020年3月期は見込み
中村屋の営業損益推移。2020年3月期は見込み

文:M&A Online編集部