敵対的TOB(株式公開買い付け)を仕掛けたことで2020年のM&A戦線の主役に躍り出たのが準大手ゼネコンの前田建設工業。その折も折、同社を舞台とした映画「前田建設ファンタジー営業部」の全国ロードショーが1月31日から始まる。若手人気俳優の高杉真宙主演による話題作。一足早く1月21日にスタートしたTOBは上映との“同時進行”となり、前田建設への注目度はいやが上にも高まりそうだ。

「前田建設ファンタジー営業部」の業務とは

映画のタイトルである「前田建設ファンタジー営業部」とは、前田建設が自社公式ホームページで2003年から公開しているウェブコンテンツの名前。アニメやゲームといった空想世界に存在する建造物をもしも実際に受注したならば、どういった技術・工法や材料で実現するのか、また工期や工費は…? 原則月1回の連載形式で、そんなワクワクするようなテーマに真剣かつ大真面目に向き合ってきた。

元々、若手有志職員のアイデアで立ち上げた企画。当初とくに知られることはなかったものの、ある時、大ブレークし、書籍化、続いて舞台化され、建設業界の枠を超えて話題を提供するようになった。

当のファンタジー営業部が最初に手がけたプロジェクトが「マジンガーZ地下格納庫一式工事」。プールの底が二つに割れて、地下の格納庫からマジンガーZが現れる出撃シーンはファンの目に焼き付いている。営業部のメンバーが試行錯誤と七転八倒を繰り返しながら取り組んだ実話をもとに、映画化したのが今回の作品だ。

出演は主演の高杉真宙のほか、上司役の小木博明、営業部員として上地雄輔、岸井ゆきの、本多力ら。配給はバンダイナムコアーツと東京テアトル。

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“身内”への敵対的TOB、成立の公算大?

映画にもなった前田建設だが、今、別の意味でも注目されている。同社は、持ち分適用関連会社である前田道路の子会社化を目的にTOBを1月21日から実施中だが、これに前田道路が「反対」を突きつけ、敵対的TOBに発展しているからだ。

前田建設が本社を置くビル(都内)

前田建設は約861億円を投じて、前田道路の持ち株比率を現在の約25%から51%に引き上げて子会社化する方針。一方の前田道路は前田建設が持つ全株式を自己取得して資本関係を解消することを求め、真っ向から対立している。

両社は社名からして本来、“身内”同士。ところが、1968年に当時の高野建設(現前田道路)が前田建設に経営支援を仰ぎ、グループ入りした経緯があり、前田道路は前田建設と一線を画してきた。実際、前田建設との直接の取引が年間売上高の1%に満たないことも背景にある。

前田建設によるTOBは3月4日までを期間とする。前田道路株の買付価格3950円は市場価格(30日の終値3635円)を300円ほど上回り、現状ではTOBが成立する公算が大きい。M&A後の両社の関係に少なからず禍根を残すことは必至だ。

グループ内で、しかも「前田」の名を冠する東証1部上場同士の対立。愛憎劇の様相を呈すれば、映画化に格好の材料を提供することにもなりかねない。

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前田建設工業<1824>、前田道路<1883>をTOBで子会社化|前田道路は自己株取得を逆提案

文:M&A Online編集部