「三菱スペースジェット」と同様に開発が伸びに伸びた「C919」が就航にこぎつけた理由は、型式証明の戦略にある。「三菱スペースジェット」は米連邦航空局(FAA)の型式証明を受けられず、ついに開発を断念した。
一方、「C919」はFAAはもとより欧州航空安全機関(EASA)の型式証明の取得も先送りし、中国民用航空局(CAAC)の型式認定のみで量産に踏み切った。「国内専用機」ゆえに、「型式認定の壁」を乗り越えて就航にこぎつけたのだ。
これは中国の国土と人口が、日本とは比べ物にならないぐらい大きいことによる。国内線だけで十分なニーズがあるからだ。マーケットサイズの大きさが「C919」の実用化につながったと言える。
もっともCOMACは「C919」は「国内専用機」と割り切っているわけではない。2017年4月にはEASAにも型式証明を申請しており、将来の国際線就航や輸出も考慮しているようだ。
ただ、度重なる開発延期で「C919」の機体価格は当初予想価格の約2倍となる6億5300万元(約130億円)に跳ね上がっている。これは同機と競合する「エアバスA320 neo」や「ボーイング737 MAX」と変わらない。「C919」が世界の航空機市場で戦うためには、生産コストの大幅な削減が必須だろう。
文:M&A Online
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