[シドニー/シンガポール 26日 ロイター] - 中国の国境再開や規制緩和を受けて、中国企業が絡む合併・買収(M&A)や資金調達が増えるとの見方が浮上している。
これまでは新型コロナウイルスの流行や規制強化が重しとなっていたが、中国政府は民間部門の信頼回復と景気押し上げに動いており、案件のアドバイザーを務める金融機関や法律事務所の活動が再開しつつある。
投資銀行助言業務を手がけるBDAパートナーズのパートナー、マーク・ウェブスター氏は「戦略的なセクター、重要産業技術、オートメーション、半導体関連が海外案件の中心になるだろう」と指摘。「東南アジアなど、国内外ではヘルスケアへの関心も高まっている。特にインドネシアへの注目度が高い」と述べた。
外交関係改善への期待からオーストラリアへの関心も高まっている。天斉リチウムはオーストラリアの鉱山会社エッセンシャル・メタルズの買収を提案した。
リフィニティブのデータによると、中国企業が絡むM&Aは昨年半減し、2006年以来の低水準となった。
法律事務所デービス・ポークの資本市場パートナー、Li He氏は「ここ2─3週間で企業から提案の要請が急増している。移動規制の撤廃だけでなく、経済再開が資本市場にとってプラスになるとの見方が出ている」と述べた。同氏は、今月8日の国境再開直後に北京に出張し、クライアントと面会したという。
国境再開に加え、規制も緩和される方向にある。中国では規制強化で過去1年半、企業の海外上場がストップ。ハイテク産業も多くの規制に圧迫されていた。
香港から中国本土への移動も約3年間、厳しく制限されていた。金融機関や法律事務所のアドバイザーは、以前は毎週のように本土に出張することが珍しくなかった。
中国の投資銀行CICCの中国越境M&A担当トップ、Bagrin Angelov氏は、国境再開によりプライベートエクイティ(PE)が絡む案件が年内に回復する可能性があると指摘。「経済再開により、PEが海外資産を中国人投資家に売却するケースが増えるだろう」と述べた。