内閣官房の「中堅企業等の成長促進に関するワーキンググループ(WG)」は、「事業再生・M&Aを含む事業承継の促進」など重点3本柱について、関係省庁による新たな取り組み方針を検証した。2023年度に向けては、健全経営の維持にも役立つ企業価値の可視化や中小M&Aの実績の取りまとめなどを予定する。
経済産業省は2023年度、M&A・事業承継の促進に向けて全国48カ所の事業承継・引継ぎ支援センターで企業価値算定ツールの実装を目指す。2022年度は実証事業やツールに備わるべき要件に係る調査を実施した。事業承継はもちろん、日頃から企業価値の維持・向上を意識した経営を促す企業健康診断についても、ツールの活用を見据えた検討を進めている。
また、経産省はM&A支援登録機関のフィナンシャル・アドバイザーと仲介業者から聞き取った中小M&Aの実績について、2022年度中に報告する。登録機関は2月16日現在で過去最多の2980件に達しており、M&A市場の活性化に向けた役割を果たすことが期待される。
なお、M&A支援機関が提供するサービスが補助対象として認められる国の事業承継・引継ぎ補助金(2022年度第2次補正予算分)は、3月下旬に公募が始まる見通し。同補助金は、2023年度当初予算案にも計上されている。
事業再生に関しては、2023年度当初予算案で官民ファンドの地域経済活性化支援機構(REVIC)の政府保証枠が2兆円から3兆円に増額される予定。1月末時点では、ポストコロナを見据えた設備投資に伴う生産性向上や事業統合による採算性向上の取り組みなどに対し20件の支援を決定しており、さらに拡充されることになりそうだ。
2021年1月に設置されたWGは、2020年9月の「中堅企業等施策に関する関係府省会議」で示された重点3本柱の進捗状況をフォローアップし、取り組み方針のさらなる拡充・深化を図るための論点を整理。重点3本柱には「若手人材のUIJターン等の人材確保・育成の支援」「DX、研究開発、海外展開等の新たなビジネス展開の支援」が含まれている。
文:M&A Online編集部