今回のコラムでは、「垂直統合型(バリューチェーン強化・拡大型)のM&A」について分析してみたいと思います。

図1:ポートフォリオ変革手段としてのM&A類型

垂直統合型M&Aの目的

このタイプのM&Aの目的は、主に次の2つと考えられます。

・バリューチェーンの機能強化による競争優位性の向上
・バリューチェーンを川下側(市場・顧客寄り)に拡大することによる新市場への参入

ひとつめは、垂直統合型そのものであり、研究開発に弱い企業が研究開発型の企業を買収することで機能を補完したり、マーケティングに弱い企業がこれらの機能をなんらかのM&Aにより強化するといったパターンです。垂直統合型というと、基本的にはこのひとつめのM&Aの目的(機能補完)をイメージすることが多いと思われます。

ふたつめのパターンは、製品製造メーカーで、販売をすべて代理店等に依存していた企業(販売店が顧客という意味でBtoBのビジネス)が、代理店を買収してエンド顧客へのリーチを確保するような場合です。これは、一義的には「販売」という機能の強化と捉えることができます。しかし同時に、これまでと異なるBtoC市場への参入、という意味で、新たな市場への参入、と捉えることもできます。

垂直統合型M&Aは、水平統合型のM&Aに比べてより戦略的な目的が明確になりやすいという特徴があります。一方で、目的が分かり易いが故に他のタイプのM&Aとは異なるむずかしさがあるように思われます。