【公認会計士監修】M&A手法解説「資本・業務提携(しほん・ぎょうむていけい)」

M&Aには、経営権の移動を伴う「狭義のM&A」のほかに、企業内のグループ再編や単なる業務提携まで含める場合(広義のM&A)もあります。

「資本提携」(alliance、tie-up)とは、資本参加を伴う業務提携をいいます。増資の引き受けなどにより、一定の株式を持つことで、単なる業務提携に比べ、経営に参画してもらったり、財務面で支援してもらうなどより強い関係を作ることができます。

一方で、株主になってもらうことは、経営に一定の参加権を与えることになります。機密情報などの情報開示も含めどの程度の出資比率とするか、社内戦略上、明確にする必要があります。

資本提携における注意点

株主は、原則として所有する株式の割合(持株比率)に応じて、株主総会議決権を行使できます。つまり議決権の過半数の株式を所有していれば、会社の重要事項を決めることができるのです。

資本提携を行う際には、「どの程度の出資比率を与えるか」、「相手企業と長期に渡り関係を維持できるか」といった点に注意する必要があるといえるでしょう。

「持株比率による支配権の内容」 (出資を受け入れる側)

持株比率支配権の内容条文
~10%
  • 株主提案権(1%)
  • 帳簿閲覧権(3%)
  • 会社解散請求権(10%)
会社法433条 
会社法306条 
会社法833条
20%
  • 連結財務諸表の持分適用
会社計算規則103条
1/3超会社法309条
過半数
  • 株主総会の普通決議 
    (以下、主な決議事項) 
    取締役の選任・解任 
    取締役・監査役の報酬の決定 
    利益処分案 (配当額など) の決定
会社法309条
2/3超会社法309条

「株主の権利」(買収する側)

保有割合株主の権利条文
1株以上
  • 会社組織に関する行為無効訴権
  • 新株発行差止請求権
  • 代表訴訟提起権
  • 取締役の違法行為差止請求権
会社法828条 
会社法210条 
会社法847条
総株主の議決権1%以上もしくは300個以上の議決権
  • 総会議題、議案提案権
会社法303条 
会社法305条
総株主の議決権1%以上
  • 総会検査役選任請求権
会社法306条
総株主の議決権3%以上
  • 株主総会招集請求権
  • 取締役等の定款授権による免責に対する異議申出権
会社法297条 
会社法426条5
総株主の議決権3%以上もしくは発行済株式3%以上
  • 会計帳簿閲覧・謄写請求権
  • 取締役、監査役等の解任請求権
会社法433条1 
会社法854条
総株主の議決権10%以上もしくは発行済株式10%以上
  • 解散判決請求権
会社法833条1

この記事は、公認会計士の監修のもと作成しております。

監修:公認会計士・税理士 高野新也/編集:M&A Online編集部