2018年7月2日、経済メディアのNewsPicksや経済情報検索プラットフォームのSPEEDAを展開するユーザベース<3966>が、米経済メディアのQuartz社の全株式を取得して子会社化することにつき取締役会で決定しました。

この買収で特徴的なのは、取得対価の一部が買収後の指標にもとづいて変動するという点です。つまり、買収時点では取得対価の総額はまだ確定しておらず、一定期間経過後に初めて取得対価の総額が判明します。

このような条件を付与するために株式譲渡契約書などに設ける条項を「アーンアウト条項」と呼びます。本稿ではアーンアウト条項のついたM&Aの意義や会計上の処理などを紹介したいと思います。

Quartz社の買収価額は最大1億1000万ドルに

Quartz社の買収にあたりユーザベースが当初に支払う対価は、ユーザベースの普通株式2500万ドル(1ドル110円換算で27億5000万円)相当と現金5000万ドル(55億円)の合わせて7500万ドル(82億5000万円)となる模様です。

これに加え、業績の達成度合いに応じてQuartz社の株主に対してアーンアウト対価を支払う合意がなされています。アーンアウト対価は、新株予約権が最大2500万ドル(27億5000万円)相当、現金が最大1000万ドル(11億円)となります。また、アーンアウト対価決定のもととなる指標は、Quartz社の2018年12月期における所定の条件を満たす売上高と期末時点における有料課金ユーザー数とされています。

アーンアウト条項のメリットは?

M&Aにおいてアーンアウト条項を設けるメリットは、将来の業績に不確実性がある買収先に対して過大な投資をしてしまうリスクを回避できることです。また、売り手側に対しても、M&A後の業績を向上させ、対価を最大化させようというモチベーションを与えることができます。

ユーザベースの適時開示情報にも「アーンアウト対価の導入により、本件買収に伴う当社のリスクを軽減するとともに、Quartz社側に対するインセンティブ効果が得られることになります」との記載が見られます。

なお、ユーザベースは今回の買収価額を決定するにあたってファイナンシャル・アドバイザーであるGCA<2174>企業価値算定を依頼しています。仮に最大のアーンアウト対価を支払った場合でも、買収価額の総額はGCAによる企業価値算定書における算定結果のレンジに収まると公表しています。

アーンアウト条項がある場合の会計処理はどうなる?