民泊が消えれば1500億円のGDPが「消滅」する

一方、賃貸物件はそもそも賃貸契約書に「転貸禁止」を明記しているケースがほとんど。民泊で利用していることが分かれば、契約解除もありうる。家主が空室を民泊に転換するケースは考えられるが、外国人の多い民泊利用者が出入りする不安や騒音トラブルなどで、入居者から苦情が寄せられたり退去されたりする懸念もあり二の足を踏んでいるようだ。

家主不在型民泊の場合は、国土交通大臣に登録した「住宅宿泊管理業者」を指定する必要もある。こうした煩雑な手続を経ても、年間180日を超える営業はできない。民泊新法の施行により、民泊は「手続が面倒な割には儲からないビジネス」になってしまったわけだ。

しかし、国際的に宿泊費が割高の日本で、外国人観光客の急増を支えてきたのが民泊であるのも事実。内閣府によると、民泊などの空間シェアサービスは年間約1300億~1700億円の経済効果があるとみている。民泊の9割が「消滅」すれば、GDPを1200億~1500億円も押し下げるだけでなく、それを上回る金額の食事や観光、交通などのサービスや物販がもたらす付帯消費もそっくりなくなる。日本経済への打撃も決して小さくない。

とはいえ、民泊業者もすごすごと立ち去っているわけではなさそうだ。どうせ面倒な手続が必要ならば、民泊ではなく、営業日数に上限がない正規の旅館業に転換する動きが出ている。手続や規制が最も緩い簡易宿所として、旅館業法の営業許可を取得するのだ。外国人観光客が集まり民泊施設が多い京都市での簡易宿所営業の新規許可件数は、2012年度の39件から民泊新法が成立した2017年度には約22倍の871件に急増している。

京都では町屋を利用したゲストハウスが外国人旅行者を集客している(Photo By Omar Ovalle)