2022年第3四半期 TOBプレミアム分析レポート

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3.2022年第3四半期の注目案件

8月29日に発表したオイシックス・ラ・大地<3182>のシダックス<4837>に対するTOB。シダックス創業家が同社筆頭株主のユニゾンファンドに対し、オイシックスを譲受人に指定した売却請求権を行使したのに伴い、オイシックスが同ファンドの所有する1479万2959 株(所有割合27.02%)の全てを取得した。

当初、シダックス経営陣は意見を保留し、コロワイド<7616>がシダックスの給食部門買収に意欲を見せるなど、創業家と経営陣の対立が表面化した。最終的にコロワイドが事業買収提案を見送り、オイシックスによるTOBが成立。TOB後もシダックスの東証スタンダード市場への上場は維持されている。

2022年第3四半期の注目案件(M&A Online)

第3四半期で最も取引金額が高かったベインキャピタルによる日立金属に対するTOBは、発行済み株式の47%を約3319億円で買い付けた。その上で日本産業パートナーズ(東京都千代田区)など日本の投資ファンド2社と組んで親会社の日立製作所が保有する残る53%の株式を約3820億円で取得し、2023年3月に完全子会社化する。同TOBは2021年11月に実施する予定だったが、大幅に遅れていた。

一方、最もプレミアムが高かったのは総合コンサルティング会社アクセンチュア(東京都港区)が9月29日に発表した、データソリューション事業を手がけるALBERT<3906>を完全子会社するTOBで、買付価格は公表前日の終値4055円に126.39%のプレミアムを加えた9180円だった。アクセンチュアは成長戦略の加速に向け、AI(人工知能)やデータ分析に精通したデータサイエンティストと呼ばれる専門人材の獲得などを狙った。

4.TOBプレミアムの推移

第3四半期の総プレミアムは32.77%と2年連続で前年同期を下回った。半面、ポジティブプレミアム平均は2年ぶりの増加となった。足を引っ張ったのは米投資ファンドのEVO FUNDが8月19日に発表した、訪日観光客向けを中心に低価格ホテルを運営するレッド・プラネット・ジャパン<3350>を子会社化したTOB。

TOB公表前日の終値56円に対して80.36%のディスカウントとなる11円で買い付けた案件が、総プレミアムを引き下げた。レッド・プラネット・ジャパンはコロナ禍で訪日観光客やビジネス客の宿泊が減り、運転資金を確保できない経営危機に直面。2020年12月期、21年12月期は2年連続で14億円前後の営業赤字を計上していた。

◆買収プレミアムの推移(非上場および不成立案件を除く)

買収プレミアムの推移表(M&A Online)

5.TOBプレミアムの分布水準

2022年は第3四半期までの累計で50%超の高プレミアム案件比率が約32%と、2021年の約24%、2020年の約13%、2019年の約18%を上回り、この6年間で最も高い。一方、ディスカウントプレミアム案件比率は約4%で、この6年間で最低となっている。通年でも総プレミアム、ポジティブプレミアムともに高い水準で終わりそうだ。

◆TOBプレミアムの分布(非上場および不成立案件を除く)

TOBプレミアムの分布グラフ(M&A Online)

【ご利用上の注意】

・2022年11月16日12時00分時点のデータである。
・2022年7月1日から2022年10月31日に公開買い付けが開始された案件を集計対象としている。ただし自社株TOBは対象外である。
・プレミアム算定に採用している株価は特に断りがない限り、公開日または基準日3カ月平均株価(終値)としている。
・プレミアム算定に非上場企業、不成立、公開買い付け中の案件は含まれない。

本レポートに掲載されております情報は、内容及び正確さに細心の注意をはらい、万全を期しておりますが、人為的なミスや機械的なミス、調査過程におけるミスなどで誤りがある可能性があります。M&A Online編集部(運営会社:株式会社ストライク)は当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても一切の責任を負うものではありません。

データ・文:M&A Online編集部

M&A Online編集部

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