67.0%の企業が事業承継を経営上の問題として認識しており、37.2%の企業が今後5年以内に事業承継を行う手段としてM&Aに関わる可能性がある。

帝国データバンクが2020年8月18日-31日に、全国の2万3689 社を対象(有効回答企業数1万2000社=回答率50.7%)に、事業承継に関する調査を行ったところ、こうした実態が浮かび上がってきた。

新型コロナウイルスの影響で事業承継に対する関心が高くなった企業も8.9%に達しており、新型コロナ関連の倒産や休廃業などの増加懸念が高まる中、その回避策として今後M&Aを伴った事業承継に注目が集まりそうだ。

切羽詰まった思いも

同調査は2017年10月(有効回答企業数1万214社)に次ぐ2回目のもので、事業承継を経営上の問題と認識している企業は2017年の71.1%から4.1ポイント低下した。一方、経営上の問題として認識していない企業は2017年の18.2%から21.6%に3.4ポイント増加した。

事業承継は新型コロナによるダメージを完全に修復してからの話になる」(一般貸切旅客自動車運送、埼玉県)や、「資金面で大変な現状にあるため、具体策は考えられない」(機械工具卸売、神奈川県)といった意見からうかがわれるように、事業承継を経営上の問題と認識する企業が減少している背景には、「事業承継どころではない」といった切羽詰まった思いがありそうだ。

また中小企業庁は2017年から事業承継支援に乗り出しており、経営資源引継ぎ補助金を導入するなど積極的な施策を展開している。事業承継を経営上の問題と意識する企業が減少した要因には、こうした取り組みの効果もありそうだ。

新型コロナウイルスの影響で事業承継に対する関心が高くなった企業については「経営者が高齢のため、新型コロナウイルスに感染すると本人の健康の危機とともに経営にも打撃を与える可能性が高いので、事業継承について考えさせられた」(事業サービス、東京都)といった声があったという。

売り手となる可能性は10%

また事業承継を行う手段としてM&Aに関わる可能性がある企業の内、買い手となる可能性がある企業は21.6%、売り手となる可能性がある企業は10.5%、売り手買い手両者の可能性がある企業は5.1%だった。   

企業からは「後継者の育成ができなければ、一つの選択肢として M&A の売り手となることを考慮しておく必要がある」(有機質肥料製造、熊本県)や、「後継者不在により国内企業とのM&Aについて検討している」(電子応用装置製造、東京都)といった声が寄せられた。

文:M&A Online編集部