中小企業の後継者不足は深刻な問題だ。帝国データバンクによると、後継者不足で悩んでいる中小企業は65%を超えている。後継者が見つからずにM&Aを行う中小企業も多いだろう。

M&Aで企業を売却すると一般的に経営者に多額の現金が入ってくることになる。このお金を元にして老後を悠々自適に過ごしたいと考えている経営者も多いと思う。

しかし、M&Aの売却資金が多額になると全額使い切ることも難しいだろう。M&Aの売却金をそのままにしておくと、相続の時に多額の税金が取られることになってしまう。現預金には何の控除もないからだ。

生命保険を利用した相続税対策には様々なスキームがあるが、今回は「医療保険に贈与を絡める節税方法」について説明する。

贈与資金で子供・孫の一生涯の医療保障を用意する

ご存知のように、贈与は年間110万円までであれば非課税になる。この非課税枠を利用して、子供や孫に贈与している方も多いだろう。贈与は相続税がかかると予想される方の資産を減らすことができるので相続税対策としては非常にポピュラーな方法だ。

しかし、子供や孫に贈与をすると「子供や孫が無駄遣いするのではないか」「子供や孫の将来のために役立てる形にしたい」と考える経営者の方は非常に多いのが実情だ。

子供や孫の将来のために贈与資金を生かすことのできるポピュラーな方法は、贈与に終身保険を絡めたスキームだ。こちらのスキームについては【終身保険に「贈与」を絡める|生命保険を活用したM&Aの出口戦略(2)】(記事はこちら)で詳しく説明しているので参考にしてほしい。

今回紹介する医療保険に贈与を絡めたスキームは、贈与資金を利用して子供や孫の一生涯の医療保障を用意するスキームになる。

“プレゼントプラン”の異名も

医療保険に贈与を絡めたスキームは以下のようになる。

・契約者:贈与を受けた人(子供や孫)
・被保険者:贈与を受けた人(子供や孫)

贈与を受けた資金で、子供や孫が医療保険に保険料を一括で払う方法で加入する。この方法で契約すると、子供や孫は生涯にわたって医療保険の保険料を払う必要がない。しかも医療保険は年齢が若いと保険料が安いので安い保険料で生涯の医療保障を用意することができるのだ。

一部の保険会社ではこのスキームのことを「プレゼントプラン」と呼んでいる。贈与を行う経営者は、自分の資産を減らすことができるので相続税の節税になり、贈与を受けた子供や孫は一生、自分で保険料を払う必要のない一生涯の医療保障を手にすることができるのだ。

途中解約には注意が必要

経営者、子供・孫双方にメリットがあるスキームではあるが、一点注意点もある。それは多くの医療保険は途中で解約した場合、解約返戻金がほとんどないことだ。以前紹介した終身保険のように、解約した場合、お金が殖えて戻ってくるスキームではないことはしっかり理解しておく必要がある。

しかし、一生涯の医療保障を手に入れることができることは、子供や孫の将来を考えた時に非常に有意義なものになるだろう。日本の公的医療制度は非常に充実しているが医療費の増加は、日本の財政問題の大きな課題になっている。未来永劫いまの公的医療制度を維持できるかはわからないのだ。そのような意味でも民間の医療保険の生涯の保障を手に入れる意味は大いにあるのではないだろうか。

文:M&A Online編集部