M&Aによって会社を売却した場合、多額の資金が経営者に入金されることになる。金額が大きければ大きいほど、自分で使い切ることは不可能だろう。そこで相続税対策を考える必要がある。相続税対策をまったく行わなければ多額の相続税がとられてしまう可能性があるからだ。

相続税対策には様々な方法があるが、今回は資産管理会社を利用した相続税対策について説明する。

資産管理会社を活用する3つのメリット

資産管理会社とは、その名の通り資産を管理するための会社だ。一般の事業法人のように、何か営業をすることはない。あくまで資産管理会社のオーナーの資産を管理するためにある。

では、なぜ資産管理のために、わざわざ会社を作る必要があるのだろうか? 資産管理会社を作る理由は様々なメリットがあるからだ。

資産管理会社を利用する主なメリットは3つだ。
・家族に資産を分散させることができる
・所得税と法人税の税率は違う
・種類の違う投資の損失をぶつけることができる

資産管理会社を利用するメリットについてわかりやすく説明していく。

家族に資産を分散させることができる
例えば、不動産を個人で保有している場合、家賃収入は当然ながら不動産所有者がもらうことになる。家賃収入から家族にお金をあげたい場合、贈与するという形になるが、贈与の場合、年間110万円以上贈与を受けると贈与税を払わなければならない。

しかし、不動産を個人ではなく資産管理会社名義にした場合どうだろうか? 家賃収入は当然、不動産の保有者である資産管理会社に入ることになる。資産管理会社の役員や従業員に家族を入れておけば給料名義で家族にお金を渡すことができるのだ。

もちろん給料には税金がかかる。しかし、給料にかかる税金は皆さんご存知の通り所得税である。所得税の税率は贈与税の税率より低いので節税効果があるのだ。

所得税と法人税の税率は違う
不動産の保有者が個人の場合、不動産から得た利益に対して課せられるのは、所得税だ。一方、不動産の保有者が資産管理会社の場合、不動産から得た利益に対して課せられるのは、法人税になる。

法人税は所得税よりも税率が低い。また法人の場合、給料などの様々な支出を経費として扱うことができるので、個人よりも利益を圧縮しやすい特徴がある。

経費計上が認められやすいことや所得税よりも法人税の税率の方が低いことから資産管理会社を設立するメリットはあるのだ。

種類の違う投資の損失をぶつけることができる
個人の場合、不動産収入と株式など投資の損失を、損益通算することはできない。損益通算とは、利益と損失を通算することによって利益を抑えることができる仕組みだ。個人で損益通算を行う場合、投資なら投資同士の通算・不動産なら不動産同士の通算しか行うことができない。

種類が違う投資の損失をぶつけることはできない。しかし、資産管理会社のような法人の場合は、損失は損失なので種類の違う投資でも損益通算を行える。

また、個人の場合損失の繰越を行うことができる期間は3年であるが法人の場合は損失の繰越は9年間認められている。様々な投資を行っている方にとって大きなメリットになるだろう。

資産管理会社に資産を移転させれば相続税の節税になる

資産管理会社には様々なメリットがあることがわかっていただけたと思う。資産管理会社を利用することによって、家族に資産をスムーズに渡せたり、経費計上などができることによって節税効果があるのだ。

もちろん、個人名義の不動産などの資産を資産管理会社に移転させることは、資産管理会社に不動産などを売却することとイコールだ。資産管理会社に不動産を売却すると、当然だが相続税がかかる対象者に売却資金が入ってくることになる。

結局、相続税がかかる対象者にお金が入ってきてしまうので資産管理会社を作る意味は相続税の節税から意味がないと考える方もいるかもしれない。しかし、不動産収入の利益に対する税金を下げることや贈与税を払わずに家族に資産を渡せることは、立派な相続税対策といえるだろう。

文:M&A Online編集部