相続税を納める人は、近年急増している。2015年に相続税の基礎控除が改訂されたことが大きな原因だ。M&Aで多額の売却金を手にした経営者の中にも相続税対策に頭を悩ましている方は多いだろう。

相続税の節税というと、アパートを建てて銀行からローンを借りることを考える経営者も多いと思う。ローンなどの負債は資産から控除することができるからだ。

ローンを借りることは、相続税対策としては大きな効果を望めるものになる。しかし、アパートを建てるとなると躊躇する人も多いはずだ。

生命保険を活用する3つのメリット

本シリーズでは、比較的手軽にできる生命保険を活用した相続税対策について説明してきた。いくつかテクニカルな手法について説明してきたが、そもそも生命保険を活用すると相続税対策にどのようなメリットがあるのかという基本的なことについて知りたい方も多いだろう。そこで今回は、相続税対策に生命保険を活用するメリットについて説明する。

相続税対策に生命保険を活用するメリットは主に3つある。

▼保険金が下りるスピードが速い
預貯金の相続手続きを経験したことがある人は分かっていると思うが、預貯金の相続手続きはものすごく時間がかかる。必要な書類も多く、相続人全員の同意がなければ、被相続人(亡くなった人)の預貯金を引き出すことはできない。銀行によって必要書類が違うこともあり、預貯金の相続手続きは非常に大変なのだ。

これに対し、生命保険の場合、死亡保険金受取人に指定された人だけで手続きすることができ、書類も銀行の相続手続きに比べてかなり簡略化されている。しかも郵送で手続きができるのでわざわざ保険会社に出向く必要もない。

郵送してから1週間足らずで保険金が下りるので、お葬式や未払い治療費などに故人のお金を充てることもできる。スピーディーにお金が下りることは生命保険を活用する大きなメリットなのだ。

▼死亡保険金の非課税枠
預貯金にはなんの控除もないが、生命保険には死亡保険金の非課税枠というものがある。死亡保険金の非課税枠とは「500万円×法定相続人の数」を相続財産から控除することができる制度をいう。

仮に法定相続人が3人いれば1500万円ものお金を控除することができるのだ。この死亡保険金受取人の非課税枠だが、非常に簡単に利用できるにも関わらず相続税がかかる富裕層の中でも意外と利用していない人が多い。高齢であると生命保険に加入できるか心配している人が多いが、保険料を一括で支払う一時払い終身保険であれば、健康状態にかかわらず加入できる保険商品もあるのでぜひ活用することをおすすめする。

▼遺言の対象外になる
預貯金の相続手続きの場合、法定相続人すべての同意が必要だ。原則、遺産分割協議書を作成する必要がある。遺産分割協議がまとまらず残された相続人が不仲になってしまうことも決して少なくない。

その点、生命保険は、死亡保険金受取人という形で明確に誰に残すか決めることができる。故人の遺志で誰にお金を残すかを決めることができるのだ。しかも生命保険は、遺言の対象外にもなる。仮に遺言書があっても生命保険は死亡保険金受取人の固有の財産になるので、遺言の対象から外れるのだ。生前お世話になった人に多くお金を残したいと思うことが一般的だろう。生命保険を活用すれば、だれに多く残すかを決めることができるのだ。

このように生命保険には預貯金にはない様々なメリットがある。この記事を読んでいる方の中には、保険が嫌いな方もいるかもしれない。しかし預貯金よりもメリットが多く、簡単に利用できる生命保険を活用しないのはあまりにももったいない、と思っていただければ幸いだ。

文:M&A Online編集部