東京商工会議所(三村明夫会頭)は8月19日、国と東京都に「中小企業の円滑な事業承継の実現に向けた意見」を提出した。新型コロナウイルスの影響で休廃業や倒産の急増が懸念される中、株価算定の補助制度創設や第三者承継(M&A)を後押しする税制拡充などを求めた。

新型コロナ影響で「M&Aの推進」など5項目

主な要望事項は、1.事業承継の早期着手の実現、2.抜本拡充された事業承継税制の利用促進(親族内承継)、3.「経営者保証に関するガイドライン」の事業承継時特則の利用促進、4.第三者承継(M&A)の推進、5.その他の課題の計5項目。東商の事業承継対策委員会(宮入正英委員長)が取りまとめた。

国に要望した株価算定の補助制度創設は、早期の事業承継対策の重要性に対する「気付き」を経営者に促すのが狙い。M&Aの推進に向けては、国の「中小M&Aガイドライン」周知と、適正な運用に向けたモニタリングの実施を要望した。国の事業引継ぎ支援センターや都の事業承継支援助成金の予算拡充なども求めた。

事業承継税制 期間延長を要望

また、事業承継税制については向こう10年間となっている期限の延長や、後継者に係る役員就任要件の撤廃などによる適用対象の拡大を要望。事業承継時に焦点を当てた国の「経営者保証に関するガイドライン」特則の周知強化なども求めた。

このほか、分散した株式をスムーズに集約するため、同族判定の範囲を縮小する株式評価額算定方法の見直しを提起。経営幹部の育成に対する支援拡充なども求め、「ウィズコロナ」における事業承継対策の支援強化が必須とした。

東商によると、意見書は宮入委員長が中小企業庁と都を訪れて提出。宮入委員長は「多くの中小・小規模事業者が経営交代期を迎える『大事業承継時代』が到来し、『価値ある事業』の円滑な承継が重要だ」と理解を求めた。

「事業自体の休廃業」7月は5.2%

中小企業基盤整備機構が毎月実施している「新型コロナウイルス感染症の中小・小規模企業影響調査」によると、今後の事業面対策について「事業自体の休廃業」と答えた7月の割合は5.2%。6月から0.9ポイント増え、政府が緊急事態宣言を発令中だった5月(5.3%)の水準と並んだ。

東京商工リサーチの調べでは、8月20日時点で新型コロナ関連の経営破たんは全国で426件。うち111件を東京都が占めている。

文:M&A Online編集部

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