2022年度下期入りの10月に合わせて、社名変更する上場企業は15社を数え、年度初めの4月の13社を上回る盛況ぶりだ。その顔ぶれは?
10月の社名変更組で最大のビッグネームといえば、セイコーホールディングス。1日付で「セイコーグループ」に改めた。社名変更は15年ぶり。持ち株会社体制は変わらないものの、グループとしての一体性を高め、司令塔としての位置づけを明確にするのが狙いだ。
実は、持ち株会社を意味する「ホールディングス」を外し、「グループ」に取り換える例はここへきて目立つ。三菱ケミカルホールディングス、コナミホールディングスは今年7月、それぞれ「三菱ケミカルグループ」、「コナミグループ」として再スタートした。
また、9月には、9つの上場子会社を抱えるGMOインターネットがグループ経営を一段と加速するとして、「GMOインターネットグループ」に変更した。ソニー、楽天は昨年4月に持ち株会社制に移行したが、その際、ホールディングスを使わず、グループを新社名に採用した。
SNS大手のミクシィは10月1日をもって「MIXI」に変更した。企業として一貫性のあるブランドを浸透させ、国内外での信用力を高めるため、ロゴ表記と社名表記を統一した。
同社は笠原健治氏(現取締役ファウンダー・上級執行役員)が東大在学中の1997年に求人情報サイトの事業を立ち上げたのが始まり。2004年にSNS「mixi」の運営を始め、2006年にミクシィに社名変更した。現在ではゲームアプリ「モンスターストライク」が稼ぎ頭となっている。
100年間守り続けてきた社名を変更したのは工作機械メーカーの滝澤鉄工所だ。海外事業の拡大を見据え、「TAKISAWA」とした。同社は1922(大正11)に大阪市で誕生し、1966年に本社を主力工場を置く岡山市に移した。
手芸専門店を展開する藤久ホールディングスは今年2度目の社名変更に。持ち株会社化に伴い1月に藤久ホールディングスを発足させたが、7月に手芸出版・教育の日本ヴォーグ社(東京都中野区)を子会社化したのを受け、10月1日に「ジャパンクラフトホールディングス」に改めた。手芸を通じた「手づくり文化の継承」を理念に掲げる。
もっとも、持ち株会社制に移行するケースでは「ホールディングス」を用いるケースが主流であることには変わりない(一覧表参照)。
マンション分譲を主力とするタカラレーベンの新社名「MIRARTHホールディングス」はMirai(未来)とEarth(地球)を組み合わせたもので、人と地球の未来を幸せにする企業へ進化していく決意を込めた。
遊技機事業のフィールズは3日付で、「円谷フィールズホールディングス」とする。フィールズは2010年に、代表作のウルトラマンシリーズなどで知られる円谷プロダクションを傘下に収めている。持ち株会社化を機に、「円谷」の名前を前面に押し出し、コンテンツビジネスの展開にアクセルを踏み込む。
◎2022年10月の社名変更(HDはホールディングスの略)
新社名 | 旧社名 | 変更日 |
MIXI | ミクシィ | 1日 |
アバントグループ | アバント | 〃 |
TAKISAWA | 滝澤鉄工所 | 〃 |
菊水ホールディングス | 菊水電子工業 | 〃 |
ジャパンクラフトホールディングス | 藤久ホールディングス | 〃 |
ジャパン・ティッシュエンジニアリング | ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング | 〃 |
セイコーグループ |
セイコーホールディングス |
〃 |
デンキョーグループホールディングス |
電響社 |
〃 |
MIRARTHホールディングス |
タカラレーベン |
〃 |
AZーCOM丸和ホールディングス |
丸和運輸機関 |
〃 |
KPPグループホールディングス |
国際紙パルプ商事 |
〃 |
タナベコンサルティンググループ |
タナベ経営 |
〃 |
円谷フィールズホールディングス |
フィールズ |
3日 |
ラオックスホールディングス |
ラオックス |
7日 |
ツインバード |
ツインバード工業 |
13日 |
文:M&A Online編集部
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