さよなら「東急ハンズ」「日立金属」 買収で長年親しまれた社名に別れ

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東急ハンズ渋谷店(東京・宇田川町)

東急ハンズ、日立金属が9月26日、社名変更を発表した。東急ハンズは「東急」を外し、10月1日に「ハンズ」として再出発する。日立金属は2023年1月4日に「プロテリアル」に名前を改める。長年慣れ親しまれた社名に別れを告げる理由はM&A。買収されて親会社が変わることになったからだ。

カインズ傘下、「東急」を外して「ハンズ」に

東急ハンズがホームセンター最大手、カインズ(埼玉県本庄市)の傘下に入ったのは今年3月末。カインズが東急不動産ホールディングスから東急ハンズの全株式を取得し、完全子会社化した。このため、東急の名が消えることは時間の問題とみられてた。

東急ハンズは1976年に創業した。独自のDIYを中心に新たなライフスタイルを提案する小売業態の先駆的存在として知られ、生活雑貨ブームの牽引役となった。現在、国内外合わせて88店舗(うちフランチャイズ23店舗を含む)を展開する。

近年はネット販売の台頭に押されて苦戦し、ここに新型コロナ禍が重なり、業績が急速に悪化。コロナの影響が本格化する前の2020年3月期に950億円だった売上高は2022年3月期は555億円まで低下し、2年連続の営業赤字に沈んだ。

新たな店名、ロゴについては今後決める予定で、当面、店舗の看板などには「東急ハンズ」が残る。

カインズは非上場ながらホームセンター業界トップで、流通大手「ベイシアグループ」の中核会社。作業着大手のワークマンもベイシアグループの一員で、こちらは東証スタンダード市場に上場している。

ベイシアグループの東京における活動拠点「東京情報センター」(東京・上野)

日立金属、日米ファンド連合が親会社に

一方、日立金属は日立製作所グループを離れ、日米投資ファンド連合の傘下に入る。東証プライム市場への上場も廃止となる。

新社名の「プロテリアル」はプロと、材料を意味するマテリアルを組み合わせた。プロはプロフェッショナル(専門的な)、プログレッシブ(革新的な)、プロアクティブ(主体的な)の3つの言葉を表す。

日立金属は1956年に日立の鉄鋼部門が分離独立して発足。日立グループでは日立金属、日立電線(2013年に日立金属と合併)、日立化成と並んで“御三家”と呼ばれた名門だ。グループ再編の一環として、日立化成も2020年に昭和電工に売却されている。

米投資ファンドのベインキャピタルによる日立金属へのTOB(株式公開買い付け)が9月27日(~10月25日)に始まった。元々、2021年11月に開始される予定だったが、各国当局の審査が遅れていた。

ベインキャピタルはTOBを通じて47%の株式を買い付ける。そのうえで、日本産業パートナーズ(東京都千代田区)など国内投資ファンド2社と組んで、親会社の日立が保有する残る53%の株式を取得し、日立金属を完全子会社化する。買収総額は8100億円に上る。

このほか、日立金属と同じく2023年1月4日付で社名変更を予定しているのが新生銀行。TOBを経て、昨年12月にSBIホールディングスの子会社になったのを受け、「SBI新生銀行」として再スタートする。

文:M&A Online編集部

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