旧村上ファンドに狙われた日本最大のベンチャーキャピタル・ジャフコとは

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ジャフコ グループの本社がある虎ノ門ヒルズ 森タワー

2022年8月15日に日本最大のベンチャーキャピタルであるジャフコ グループ<8595>が、旧村上ファンド系のシティインデックスイレブンス(東京都渋谷区)が急速に株式を買い進めており、51%を取得する可能性があることを示唆されたと明らかにしました(「株式会社シティインデックスイレブンスらによる当社株式を対象とする大規模買付行為等が行われる具体的な懸念があることに基づく当社の会社支配に関する基本方針及び当社株式の大規模買付行為等に関する対応方針の導入に関するお知らせ」)。

ジャフコは大規模買付行為等への対応方針の導入を決議。買収防衛策で徹底抗戦する構えを見せました。

旧村上ファンドの標的にされたジャフコとはどのような会社なのでしょうか?この記事では以下の情報が得られます。

・ジャフコの業績
・主な投資先
・シティインデックスイレブンスに狙われた理由

ソフトバンクグループの上場を支援

ジャフコは1973年4月設立の日本合同ファイナンスが前身。日本で民間のベンチャーキャピタルができたのは1972年。日本合同ファイナンスは日本で4番目に設立されており、その前に設立された3社は廃業しています。ジャフコは日本で生き残った最も古いベンチャーキャピタルです。

未公開株に投資をするPEファンドは、エグジットまでにかかる期間が3~4年と長期にわたります。それはベンチャーキャピタルも同じ。同業者が収益化できずに次々と廃業するのは当然の成り行きでしたが、日本合同ファイナンスは野村證券(東京都千代田区)、日本生命保険(大阪府大阪市)、旧三和銀行が合同で出資をしていたため、資金力がありました。

1990年代に入ると株式公開ブームが起こります。ジャフコは1994年7月のソフトバンクグループ<9984>、1995年3月のエイチ・アイ・エス<9603>の上場をけん引しました。

1997年8月にジャフコに商号変更。1998年5月にバイアウト投資部門を発足させ、投資ファンドとしての事業の幅を広げました。2001年1月に東京証券取引所市場第一部上場。2017年7月に野村ホールディングス<8604>と野村総合研究所<4307>が保有する株式27.8%を買い取って消却。野村ホールディングスのグループから外れました。

2020年10月に社名をジャフコ グループに変更しています。

代表取締役社長の三好啓介氏は、新卒で日本合同ファイナンスに入社した生え抜き。スタートアップ投資、新規事業の立ち上げ、M&A、IPO支援など豊富な実績があります。順調に昇進の階段を上り、2022年4月に社長に就任しました。

ジャフコは現在総額800億円のファンド「ジャフコSV6ファンド」を組成中。SV5の500億円からファンド規模を大幅に拡大しました。37%がジャフコの自己資金です。

※JAFCO「ファンド(投資事業組合)」より

2022年3月期は国内外で出資先6社が上場

2022年3月期の売上高は前期比28.7%増の276億7,700万円、純利益は同60.8%減の150億8,000万円でした。2022年3月期は国内で出資をしていたビジョナル<4194>、ワンダープラネット<4199>、Photosynth<4379>、Finatextホールディングス<4419>の4社が新規上場。更に海外のIPO案件が2社ありました。上場キャピタルゲインが前期比66.5%増の125億9,600万円となり、売上高の伸張に一役買いました。

決算短信より筆者作成

2021年3月期はジャフコが保有していた野村総合研究所の株式1,500万株あまりを売却。447億6,400万円の売却益を得ました。そのため、純利益が前期と比べて3倍以上の385億400万円に跳ね上がっています。これは特殊な要因であり、ジャフコの純利益率の平均は50%程度です。

ジャフコの累計投資社数は2022年8月末時点で4,125社。およそ1/4が上場しています。2022年に初回投資を行った会社は以下の通りです。

■ジャフコ2022年初回投資先一覧

社名 事業内容
Beatrust株式会社 組織内協業のための人材情報検索プラットフォーム
株式会社CBA 廃棄物処理業務のDXをはじめとする循環型社会実現のためのデジタルインフラの構築
double jump.tokyo株式会社 ブロックチェーンゲーム/NFTの開発・運営・販売
株式会社フジテックス 専門機器・資材・製品の企画・販売・メンテナンス、人材紹介 等
協和株式会社 プラスチック射出成形品の製造・組立、金型の設計・製造 水耕栽培「ハイポニカ」システムの販売
メタジェンセラピューティクス株式会社 マイクロバイオームサイエンスを活用した創薬・医療事業
株式会社miive ブランドプリペイド事業、福利厚生事業
株式会社ネットワーク 業務システム及び業務アプリケーションの設計、開発及びメンテナンス業務
株式会社ROUTE06 大手企業のデジタルプラットフォーム事業の垂直立ち上げに特化したプロフェッショナルサービス及びエンタープライズソフトウェアサービス「Plain」の提供
株式会社シェアリングエネルギー 住宅用太陽光発電システムの第三者所有(TPO)サービス
サステナブル・ラボ株式会社 非財務データの収集・分析
株式会社テクノウエア コンピュータ・ソフトウェアの開発、コンピュータシステムの運用管理
株式会社THIRD 不動産管理会社向け自動化SaaS、不動産・建築コンサルティング
株式会社VRAIN Solution 製造業向け AI サービスの提供

※JAFCO「Portfolio」より

麦とホップ @ビールを飲む理由

しがないサラリーマンが30代で飲食店オーナーを目指しながら、日々精進するためのブログ「ビールを飲む理由」を書いています。サービス、飲食、フード、不動産にまつわる情報を書き込んでいます。飲食店、宿泊施設、民泊、結婚式場の経営者やオーナー、それを目指す人、サービス業に従事している人、就職を考えている人に有益な情報を届けるためのブログです。やがて、そうした人たちの交流の場になれば最高です。

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ドーガンは九州に拠点を置く中堅企業の事業承継や、スタートアップの資金支援を行う投資ファンドです。地方独立系ファンドとして15ファンド350億円の投資実績を持っています。2017年7月に西日本新聞社のアドバイザリーを務め、豆腐店の買収を支援するなどユニークな取り組みを行っています。