利益にこだわれ!|M&Aに効く論語5

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利益追求のブーメラン効果

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 私たちはいま、君子でもないのに君子のように振る舞わないと結果を出せない、結果を出せても長持ちしない時代に生きています。

 バイトだからといって、店でふざけた行為をしてSNSで拡散すれば、その人はクビになり損害賠償を請求される恐れが出て、さらに店も、企業も大きなダメージを受け、そこから回復するまで大変な努力をしなければなりません。バイトのおふざけ行為がなければ、その努力は不必要だったのです。

 そもそも、なぜ、その人はバイトだったのか。元をたどれば、利益のためです。正社員ではなくバイトを雇うことで人件費を節約し利益を出すこと。「利に放(よ)りて行なえば」です。ここは利ではなく「義」を重んじて組織をしっかり作ることが、リーダーとしては重要なことでしょう。

 このように、ただひたすら利益のみ追求すると、そのブーメラン効果で、いつかマイナスとなって自分に返ってきてしまうことがあるのです。

 君子に及ばない小人であるうちは、「小人は利に喩る」でいいでしょう。利益に敏感になっていなければなりません。そういう立場にあるのです。利益をバカにしてはいけない。徹底して利益にこだわってもいいのです。

 ふざけた行為をすることが、自分の利益になるでしょうか。それをSNSで拡散することはどうでしょう? 小人の立場にあるときは、そこまで考えられないし、考えなくてもいいのかもしれませんが、君子(リーダー)として行動するときには、利益だけではダメなのです。

 では、君子の重視しなければならない「義」とはなんでしょうか。それは次回に考えていきましょう。

※『論語』の漢文、読み下し文は岩波文庫版・金谷治訳注に準拠しています。

文・舛本哲郎(ライター・行政書士)

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