中京大学の矢部謙介教授はM&Aや事業再編の発表がされた時に株価がどう動くか、また財務会計データを用いてM&A後の業績がどうなったのかーといった内容を中心に研究に取り組んでいる。

M&Aによってトータルとしての企業価値が上がる

2013年に出版した書籍『日本における企業再編の価値向上効果』ではM&A後に企業価値がどう変化したかなどをまとめた。完全子会社化、事業譲渡、資本参加の三つの観点で株式市場がどのように反応したか。また財務的な業績がどう動いたかを調べたもので、数100社をサンプルにして、統計処理をして実証的に検証した。

その結果、M&A後の株価については、例えば完全子会社化では買われる会社の株価が上昇するのはプレミアムが付いているため当然だが、同時に買う側の株価も上がることが分かった。ここからは「プレミアム分の株価上昇だけでなく、トータルとしての企業価値が上がるだろうと市場が見ていることが分かる」(矢部教授)という。

矢部教授はもともとはコンサルティング業界に身を置いており、8年ほど経営コンサルタントとして働いていた。こうした経験を活かしゼミでは企業に対する提案書作りを行い、実際に企業に出向いてプレゼンテーションを行っている。

数年前、学園祭でのビジネスプランコンテストにおいて、協賛してくれたあるコンビニの全国展開戦略について提案をした。その中で、M&Aを行ってはどうかという提案もあったという。「今、経営戦略を考えるうえでの選択肢としてM&Aは外せない。今後は学生にとってもM&Aが身近になるだろう」(矢部教授)と予測する。 

ビジネスの面白さを知ってもらう

【矢部ゼミ】

矢部ゼミでは毎週、ゼミ生同士や教授と議論をする

矢部ゼミは企業に対し、大学生の目線から経営上の問題点を指摘し、改善方法や新規事業などの提案を行う演習スタイルをとる。毎週各グループで調査し検討してきた内容を提案し、ゼミ生同士や教授と議論をする。

ビジネスの面白さを知ってもらうことに重きを置く矢部教授は、ゼミ生に対し「モチベーションを高く持ってほしい」と注文をつけるとともに「考え抜いた先にある面白さを見つけられるような人になってほしい」とエールを送る。

さまざまな考えを知るために、相手の懐に飛び込めるようになるためのはじめの一歩を助けるというのが矢部ゼミの特徴だ。