起死回生戦略としてのM&A

*1年以上前に公開。掲載情報は公開当時のもの。
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今回のコラムでは、「再成長(起死回生)型のM&A」について考察してみたいと思います。

広義の意味では、本来水平統合の一種に分類すべきタイプのM&Aとも言えます。なぜなら基本的には同業他社を買収することが想定されるからです。しかし本コラムでは、既に既存市場で優位性のある事業の水平統合とはあえて分けて、このタイプを再成長(起死回生)型のM&Aとして分類してみたいと思います。

再成長(起死回生)型M&Aの特徴

例えば国内市場で長年業界トップ3に甘んじ、今後の国内市場でのシェア奪還が困難とみられる事業において、新興国など、成長期にある市場に他社に先駆けて参入し、そこでのシェア拡大を狙う戦略と言えます。特定エリア(国、地域)において、マーケットチャレンジャー、またはマーケットニッチャーである企業が取ると考えられる戦略です。

図1:ポートフォリオ変革手段としてのM&A類型

業界3位以下に位置する、チャレンジャーやニッチャー(3位以下)にとっては、戦略の是非が事業に与える影響は、1位、2位の企業以上に非常にクリティカルだと考えられます。1位、2位が取るべき戦略的オプションはそれほど多くないのに対し、「業界3位またはそれ以下」というポジションは戦略のオプションが多いためです。

逆に言えば、戦略次第で大化けする可能性があるポジションでもあり、ある意味非常に面白いポジションでもあります。戦略という意味ではインド市場で成功しているスズキの例が近いかも知れません。(スズキはインド進出を時間をかけて自前でじっくり行っており、M&Aで参入したわけではありませんが・・)

このポジションにある企業・事業は、それでも市場・サービスを進化、変化させて、成長を目指すか、教科書的な理論通り、早期の撤退、または最悪の場合は清算を決断するかどうか、という難しい判断を常に迫られることになります。

西澤 龍 (にしざわ・りゅう)

IGNiTE CAPITAL PARTNERS株式会社 (イグナイトキャピタルパートナーズ株式会社)代表取締役/パートナー

投資ファンド運営会社において、不動産投資ファンド運営業務等を経て、GMDコーポレートファイナンス(現KPMG FAS)に参画。 M&Aアドバイザリー業務に従事。その後、JAFCO事業投資本部にて、マネジメントバイアウト(MBO)投資業務に従事。投資案件発掘活動、買収・売却や、投資先の株式公開支援に携わる。そののち、IBMビジネスコンサルティングサービス(IBCS 現在IBMに統合)に参画し、事業ポートフォリオ戦略立案、ベンチャー設立支援等、コーポレートファイナンス領域を中心にプロジェクトに参画。2013年にIGNiTE設立。ファイナンシャルアドバイザリー業務に加え、自己資金によるベンチャー投資を推進。

横浜国立大学経済学部国際経済学科卒業(マクロ経済政策、国際経済論)
公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員 CMA®、日本ファイナンス学会会員

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