【M&A戦略】デジタル化、モバイル化に対応

プラザクリエイトの沿革と主なM&A
年   月  内容
1984年9月 大島康広氏が学生時代に写真撮影業をスタート
1986年4月 「パレットプラザ」1号店出店
1987年7月 「パレットプラザ」のFC展開を開始
1988年3月 プラザクリエイトを設立
1990年5月 「パレットプラザ」100号店達成
1995年6月 「パレットプラザ」500号店達成
1996年12月 中部写真を通じて米国の感熱紙メーカーであるサイカラーの全株式を24億円で取得
1996年7月 ジャスダックに上場
1996年9月 米国のカメラメーカーであるビビター(売上高159億円)と、グループ企業で仏、香港、日本で販売をおこなう3社の全株式を40億円で取得し、完全子会社化
1996年12月 米国ピクチャービジョン・インクと合弁で、フィルム映像のデジタル化サービスを提供するフォトネットジャパン(現・ジグノシステムジャパン)を設立
1997年11月 会社更生手続き中で、フィルム、印画紙等の製造、写真映像関連商社、低価格DPEを展開するオリエンタル写真グループ3社の事業を、新設会社3社(合計出資額7億5,000万円)を通じて譲り受け
1999年1月 「パレットプラザ」1,000号店達成
2000年11月 ビビターと、海外の全額出資子会社5社の全株式を英領バージン諸島の投資会社に35億円で売却
2002年3月 ジグノシステムジャパンがジャスダックに上場
2003年3月 オリエンタル写真グループのうち、写真用品の卸売りをおこなうオリエンタル写真商事の全株式を1,000万円で売却
2003年8月 サイバーグラフィックス(旧オリエンタル写真工業)をMBOで売却
2005年8月 デジタルプリントサービスを提供するデジプリ(売上高4億円、営業利益▲8,000万円、純資産9,200万円)の株式69.1%を1億4,000万円で取得し、子会社化
2005年9月 パソコン関連製品のECサイトを運営するITエージェント(売上高15億円、営業利益9,400万円、純資産1億円)の全株式を5,000万円で取得し、完全子会社化
2006年4月 会社更生手続き中で、DPEショップを運営する55ステーションの第三者割当増資5,000万円を引き受け、完全子会社化
2007年4月 携帯電話販売事業をおこなうエス・エヌ・シーから、新設会社を通じて同事業(純資産7,200万円)を2億7,200万円で譲り受け
2008年4月 エフエム東京の公開買い付けに応じて、ジグノシステムジャパンの全株式20.94%を16億円で売却
2013年11月 Vistaprintグループに対して自己株式17.35%を割り当て、資本業務提携を実施
2014年2月 Vistaprint Distribution B.V. (VDBV) との合弁会社であるビスタプリントジャパンに、デジプリ事業(売上高3億6,200万円、営業利益3,800万円、純資産8,800万円)を譲渡
2015年7月 携帯電話販売事業をおこなうスリーエヌ(売上高9億9,100万円、営業利益700万円、純資産2,100万円)の全株式を取得し、完全子会社化
2016年12月 シンプレスジャパン(旧ビスタプリントジャパン、純資産22億円)の株式49%を、Cimpress Investments B.V.(旧Vistaprint Distribution B.V.)に対して、10億円で売却
2016年12月 Vistaprintグループから自己株式17.62%を8億8,900万円で取得し、資本業務提携を解消

 このように過去のM&Aを見てみると、プラザクリエイトのM&A戦略には、総合写真企業を目指して製造部門の内製化を進めるとともに、写真のデジタル化への対応を模索した2000年代前半までの時期と、小売店展開に軸足を移し始めた2000年代後半以降の時期があることが分かる。

 同社のM&Aは、1996年の上場前後に、感熱紙メーカーのサイカラーと、低価格のコンパクトカメラメーカーのビビターを買収したことからスタートしている。当時ビビターは、米国ウォルマート等の小売店を中心にコンパクトカメラを販売している一方で、日本では展開をしていなかった。既に日本で小売店網を構築していたプラザクリエイトは、ビビター商品の日本展開と、自社店舗の付加価値向上を、このM&Aで目指したことになる。またこれらの2社のM&Aは、写真のデジタル化への対応のために、デジタル技術に強みを持つ会社を傘下に収めるという側面も持っていた。しかしながら、結局、ビビター買収は失敗に終わり、2000年11月に売却することとなる。

 また、同年1996年には、米国ピクチャービジョン・インクと合弁で、フィルム映像のデジタル化サービスを提供するフォトネットジャパン(現・ジグノシステムジャパン)を設立している。同社は2002年に上場を果たすこととなり、現在はプラザクリエイトグループとは資本関係はないが、写真のデジタル化に対応した好例といえよう。

 このように、写真のデジタル化への対応をM&Aを通じて模索してきたプラザクリエイトであったが、2006年の55ステーションの買収を皮切りに、小売店展開にシフトをしていくこととなる。55ステーションはデジタル化への対応に遅れたことで業績が悪化していた企業で、パレットプラザを運営するプラザクリエイトがノウハウを提供することで立て直しを図ることとなった。

 55ステーションのようなフォトサービスショップの買収を進める一方で、2007年以降は携帯電話販売事業のM&Aを通じて、同事業に注力していくことになる。2000年代以降、J-PHONE(現ソフトバンク)の発売を契機にカメラ付き携帯電話が爆発的に普及したことに伴って、その時流に乗る形での参入である。

 2007年のエス・エヌ・シーから事業を買収し同事業に参入した後は、自社展開とM&Aを組み合わせて事業展開を図り、現在ではプリント事業の売上高を上回っている。

 プラザクリエイトのM&A戦略を2つの時期に分けて見たが、いずれも共通しているのは「写真」をコアとして、写真業界を取り巻く環境の変化に対応するためにM&Aを活用してきたということである。前半期は写真のデジタル化、後半期は写真のモバイル化への対応ということである。