攻めに転じた「パイオニア」次代のリーダーになれるのか

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パイオニアはモビリティ(移動)の新サービスを創出する(写真はイメージです)

香港投資ファンドのベアリング・プライベート・エクイティ・アジアの傘下で、経営再建中のパイオニア(東京都文京区)が、攻めに転じた。

同社は2021年10月25日に、MaaS(複数の交通機関を結び付け、移動を大きく変えるサービス)事業などを展開するスタートアップ企業のソニックス(東京都品川区)との間で資本出資、業務提携に関する契約を結んだ。

これまでは再建を軌道に乗せるため子会社の売却などに取り組んできたが、モビリティ(移動)サービス事業の加速を狙いに、2021年8月にSaaSテクノロジーセンターを新設したのを踏まえ、資本参加という積極策に打って出た。

同社では今後も他社との協業を積極化させるとしており、モビリティサービス事業が急速に拡大しそうだ。

移動の新サービスを創出

ソニックスはMaaSなどのモビリティソリューション事業をはじめ、スマートシティ向けソリューション事業やDX(デジタルトランスフォーメーション=デジタル技術によるビジネスなどの変革)推進事業などを手がけている。

ソニックスが持つMaaS開発力やSaaS(クラウドで提供されるソフトウエアの)開発力と、パイオニアが持つモビリティデータや車載向け技術を連携させることで、モビリティ領域に向けた新しいサービスの創出を目指すという。

パイオニアは2025年に向けた新ビジョン「未来の移動体験を創ります」に沿って、SaaSテクノロジーセンターを設置し、モビリティ領域のさまざまな課題をソリューションで解決するSaaSビジネスを推進しており、今回の資本参加と業務提携で、SaaSビジネスが大きく動き出すことになる。

パイオニアはカーエレクトロニクス事業を中心に、車の快適、感動、安心、安全を実現する製品やサービスの提供などに取り組んでいる。

1937年に国産初のダイナミックスピーカーを開発したのに続き、1980年に家庭用レーザーディスクプレーヤーを米国で発売したほか1990年には世界初のGPSカーナビを発売するなど先進的な製品を生み出してきた。

だが、プラズマテレビからの撤退や、カーナビ需要の縮小などから経営不振に陥った2019年に、香港投資ファンドの傘下に入り、経営再建を進めている。

この間、2020年にDJ・クラブ機器メーカーの最大手Alpha Thetaの全保有株式(保有割合14.95%)をノーリツ鋼機<7744>に売却したほか、2021年にはデジタル地図や位置情報サービスを手がける子会社のインクリメント・ピー(東京都文京区)の全事業を、投資ファンドのポラリス・キャピタル・グループ(東京都千代田区)に売却した。

音響機器やレーザーディスク、カーナビなどで時代をリードしてきたパイオニアは、未来の移動体験を創るMaaSで、次代のリーダーになれるだろうか。

パイオニアの沿革
1937 国産初のダイナミックスピーカーを開発
1938 福音商会電機製作所を創業
1961 パイオニアに社名を変更
1961 東京証券取引所市場第二部に上場
1968 東京証券取引所市場第一部に指定替え
1980 家庭用レーザーディスクプレーヤーを米国で発売
1990 世界初のGPSカーナビを発売
2019 香港投資ファンドのベアリングの傘下に
2019 東京証券取引所市場第一部の上場を廃止
2020 Alpha Thetaの全保有株式(保有割合14.95%)を売却
2021 デジタル地図などのインクリメント・ピーを売却
2021 ソニックスに資本参加し、業務提携

文:M&A Online編集部

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