品川駅のランドマーク「旧ホテルパシフィック東京」の雄姿、いよいよ見納め

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解体工事を待つ「旧ホテルパシフィック東京」(品川駅高輪口)

東京・品川駅高輪口(西口)のランドマーク、「旧ホテルパシフィック東京」の雄姿がいよいよ見納めとなる。11月から解体工事が本格的に始まるのを前に、30階建ての建物には窓文字で描かれた「アリガトウ」とハートマークがお目見えした。くの字に折れ曲がった個性的なデザインは超高層ホテルの草創期を飾る名建築とされてきた。

京急が社運をかけてホテル進出

ホテルパシフィック東京が第一京浜を挟んで品川駅高輪口の目の前に開業したのは1971(昭和46)年。地上30階、954室の巨大シティホテルで、京浜急行電鉄(京急)がホテル進出の第一弾として社運をかけて建設した。同じ年には新宿駅西口に47階建ての京王プラザホテルがオープンしている。

時あたかも日本経済は高度成長の絶頂期。前年に大阪で開かれた万国博覧会「EXPO’70」は大成功を収めた。また、羽田空港にはジャンボジェット機が就航し、空の玄関口への交通の結節点でもある品川駅の周辺エリアは宿泊需要が大いに期待された。

実は、ホテルパシフィック東京としての営業は建物の老朽化などに伴い2010年に終了。その後は、ビジネスホテルの京急EXイン、結婚式場、レストラン、ショップなどが入居する商業施設「SHINAGAWA GOOS(シナガワグース)」に衣替えし、営業を継続してきた。

しかし、こちらも2021年3月末をもって閉館。前身のホテルパシフィック東京の時代を含めて50年に及ぶ歴史にピリオドを打ち、解体工事の着手を待つばかりとなっていた。

JR品川駅の高輪口(西口)

跡地はトヨタと共同で再開発へ

そこに10月22日になって突如出現したのが建物に描かれた「アリガトウ」の5文字とハートマーク。客室の窓にピンクの紙を張り付け、窓文字を作ったもので(掲示は10月29日まで)、感謝を伝える京急の粋な計らいだ。

旧ホテル跡地は今後、京急とトヨタ自動車が共同で再開発事業を進め、ホテル、オフィス、商業施設、国際会議場などからなる大型複合施設が予定されている。

品川駅の高輪口エリアといえば、本来、京急にとってお膝元そのもの。2019年に横浜市に移転するまで本社を構えていた。ところが、駅前は西武鉄道傘下のプリンス系ホテルが幅を利かせ、お株を奪われているのが実情。駅前の一等地である旧ホテル跡地の再開発事業の成否は京急の面目一新を左右することになりそうだ。

文:M&A Online編集部

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