2.事業承継前に組織活性化に取り組むB社

B社は、長年に渡って建設業を行っている会社です。80歳を超える社長のパワーは今なお強く、従業員は従順する一方で、各々自分の好みで仕事をこなしています。そのため、会社として、個々の仕事量の把握やマネジメントがうまく行えていません。

また、管理職はリーダーシップが弱く、スケジュール管理が苦手であることから、従業員たちも仕事に対して消極的になり、会社組織としての力が低下している状況です。

そんな中、後継者である社長のご子息は、「俺はこの会社が好き。だから会社が存続してほしい」、「将来、父から会社を譲り受ける前に、風通しが良い会社組織に変えたい」と考えます。しかし、父である社長に面と向かって自分の意見を主張すれば、受け入れてもらえないことがわかっていました。

そこで、能力があって信頼ができる若手従業員に味方になってもらい、社内に、従業員が持つスキルや資格、仕事内容や仕事量の情報を収集し、データ化して社内で共有することを推進するチームをつくりました。

これにより、各従業員の仕事量やスケジュールを把握して平準化したり、得意分野に応じた仕事を任せたりすることで、客先からの不満やトラブルを減らすとともに、従業員のモチベーションを高めることができます。会社組織が活性化し、従業員たちの雰囲気が変われば、社長が後継者を見る目も変わるかもしれません。

3.経営改善や組織活性化に取り組むメリット

経営改善では、不採算事業を整理して収益を上げることで赤字経営から黒字経営に転換したり、遊休資産を売却して得た資金を借入金の返済に充てて債務超過を解消したりすることで、後継者への負担が少ない財務体質にすることができます。

また、組織活性化では、経営者が後継者や従業員に経営理念の意味を説明することで会社の方針を理解してもらったり、後継者が中心となり同世代の若手従業員と次世代の幹部チームを結成してプロジェクトに取り組んだりすることで、1人1人のモチベーションを高めて意識改革を行い、強い会社組織にすることが可能となります。

事業承継前からこれらの問題に取り組んでおくことは、その後の企業の成長・発展につながるため、ぜひおすすめします。

文:和田 純子(中小企業診断士)