【中小企業のM&A】土地や車を手元に残したいのですが・・・
中小企業では、「会社」と「個人」の区別がはっきりしていないことがめずらしくありません。手元に残したい資産については、早めに整理しておきましょう。
添付書類を閲覧する場合、当該添付書類に利害関係を有していることが必要です(商業登記法11条の2)。
したがって、本事例のように、取引先の債権者が債権回収のために閲覧する必要がある等、利害関係を有している理由を閲覧申請書に記載する必要があります。
しかし、従前は、実際に利害関係があるかどうかを証明する資料を添付する必要がなく、閲覧対象とする書類も「添付書類一式」と記載すれば良く、厳格な運用がされていたとは言い難いものでした。
そこで、平成28年10月1日付で、株主リストの改正に合わせて、商業登記規則が改正され、以下のとおり添付書類の閲覧要件・手続が改正されました(改正後商業登記規則21条)。
①閲覧申請書に「閲覧しようとする部分」と「当該閲覧部分についての利害関係を有している理由」を記載する必要になったこと
②利害関係を証する書面の添付が必要になったこと
本改正①に伴い、単に「当該会社の債権者だから添付書類一式を閲覧したい」というだけでは足りず、より具体的に「○○の件で、債権を有しており、○○を理由として、○○をしたときの株主総会議事録を閲覧したい」と、詳細な理由で、かつ具体的な閲覧対象の書面の特定も必要になったと考えます。
例えば、本事例が濫用的新設分割を疑う事例なのであれば、「濫用的会社分割に伴い詐害行為取消権の行使を検討しているため、当該新設分割に係る株主総会議事録・新設分割計画書の内容を確認する必要がある」等を閲覧申請書に記載する必要があると考えます。
また、本改正②に伴い、利害関係を証する書面も必要になったので、閲覧申請人が利害関係を有していると登記官が判断できる資料を提出する必要があります。具体的には、本事例であれば、債権者であることがわかる契約書や支払交渉に係る資料、場合によっては準備している訴訟の訴状案などの提出が求められることも考えられます(法務省民商第99号-依命通知)。
そして、閲覧申請書等を提出した上で、登記官が審査をし、登記官が必要と判断した部分のみ、閲覧が認められることになります(請求した全ての書類の閲覧は認められずに、一部のみ閲覧が可能となることもあります。)。
以上
文:司法書士/行政書士 大越一毅
出典:フォーサイト総合法律事務所HP 「登記相談Q&A」より
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