Q:非公開の同族会社です。経営に参加しない者が保有する株式を現金化できますか?

 父が20 年前に創業した樹脂加工関連の製造業を営む非公開企業の株主です。昨年、父が他界し、経営は長男が継ぐこととなりました。現在の株主構成は、長男30%、私(次男)20%、妹10%、母40%で、長男以外は経営に一切関わっておりません。

 私は今年で65歳を迎えたこともあり、将来的な相続問題も考えた上で長男に株式の買い取りを打診しましたが、1 株当たりの純資産額の10 分の1 という信じられないような低価格を提示されました。もっと高い金額で第三者に売却することは可能でしょうか?

(兵庫県 K・S さん)

A:可能ですが、いくつか条件をそろえる必要があります。

 非公開企業の経営に参画しない少数株主が株の売却を成立させるためには、大きく二つの条件があります。一つは、一般的に定款において株式譲渡制限が規定されているため、取締役会(または株主総会)の了承を得ること。もう一つは、少ない株式比率でも譲り受けたいという意向がある第三者を見つけることです。

 買い手に事業会社を想定する場合、経営権を保持できない比率での株式譲り受けはメリットが低く、リスクも大きいため、消極的であることが多いです。従って、他の親族などにも声を掛け、51%以上の株式を確保した上で譲渡を考えることが望まれます。一方で、同族会社の場合は非同族への株式譲渡を避けたいため、経営陣を納得(譲渡承認)させる買い手を見つけることは簡単ではありません。そのため、二つの条件をそろえるには、買い手候補企業と現経営陣との間でお互いを尊重する話し合いを持つことが肝要です。

 今回のケースでは、経営に関わっていない親族で株式の70%を確保しているため、株主総会を掌握し強権的に譲渡承認を得ることも可能です。しかし、人間関係にひびを入れないためにも親族間で話し合いを持ち、長男の理解を求めて、長男個人もしくは会社に適正な価格で株式を買い取ってもらえるよう説得するのも一つの選択肢です。

 とはいえ、親族間の話し合いは感情的になりやすく、もつれることもよくあります。問題解決には相続・税務・M&Aなどの総合的な知識やノウハウも必要となるため、専門家に一度ご相談されることをお勧めします。

M&A情報誌「SMART」より、 2014年1月号の記事を基に再構成
まとめ:M&A Online編集部