規模の大小に関わらず、企業経営において一般的な経営戦略となったM&A。多くの財務情報を扱うM&Aにおいて、経営者の傍らで財務アドバイスを行いやすいのは顧問税理士である。

企業や会計事務所向けのコンサルティングを行い、またM&Aでご自身の企業を譲渡された経験のある鈴木丈織氏に、会計事務所における顧問先企業のM&Aへの対応の在り方について聞いた。

競争を勝ち抜くには
プラスアルファの業務ができる「付加価値」が求められる

会計事務所にどのようなアドバイスをされているのかお聞かせください。

 会計事務所を取り巻く環境は、ここ10年で大きく変わりましたよね。税理士登録者数の増大により顧客獲得競争が激化し、企業には使いやすい会計ソフトが導入されてきました。

 顧問先企業が会計事務所に求めることも、これまでの税務業務や数値の報告といった基本業務だけではなくなってきています。

 そのため、会計事務所には次の3つのポイントをお伝えしています。

[1]企業の数値を見て、単純に良い悪いだけではなく、現状を把握し独自の予測を立て経営者と話し合うこと。
[2]すぐには財務数値に現れない企業の地道な活動についても知る努力をすること。
[3]海外や国内の社会情勢や法令改正など、経営を取り巻く話題について経営談義を行うこと。

 もちろん、税理士は税務の代行や税務相談が主業務であり、それがおろそかになってはいけませんが、プラスアルファの業務がメインと同じくらい大きくなっても構わないでしょう。

 会計事務所独自の“人による付加価値”がなければ、最新の会計ソフトや別の会計事務所に取って代わられかねないのです。私は「経営参謀」という言葉を使うのですが、経営者が判断できる情報を提供し、時には苦言も呈し、決断に悩む経営者を支える。そのような役割を会計事務所には担ってもらいたいと思っています。

顧問先企業からのM&Aの相談について、会計事務所はどう対応すべきでしょうか。