【中小企業のM&A】土地や車を手元に残したいのですが・・・
中小企業では、「会社」と「個人」の区別がはっきりしていないことがめずらしくありません。手元に残したい資産については、早めに整理しておきましょう。
公開日:2016年11月01日
当社は取引をしている会社(以下「取引先」といいます。)に売掛債権を有していますが、取引先からの支払いがありません。
取引先は、新設分割をして、利益の出ている事業のみを新設会社に移し、当社の売掛債権は取引先に残したままのようです。
今後、取引先・新設会社に対して、債権回収のための法的措置を検討しているため、当該新設分割に係る新設分割計画書・株主総会議事録等の登記申請時の添付書類を法務局で閲覧したいと考えていますが可能でしょうか?
また、添付書類の閲覧要件・手続に関する改正があったと聞きましたが、具体的にはどのような改正があったのでしょうか。
会社の登記事項証明書(登記簿謄本)は、取引先に限らず、全く取引関係の無い会社であっても、当該会社の商号(会社名)と本社所在地が分かれば、全国どの法務局であっても取得可能です。
しかし、本事例のように、取引先の登記事項証明書だけでは足りず、新設分割等、取引先が何か変更手続をした際の関係資料を入手したいというケースは少なくありません。
勿論、取引先から直接入手出来ればいいのですが、本事例のように、何らかの理由で支払が滞っている等取引先とトラブルになっているケースですと、取引先が任意で資料を開示してくれる可能性は低いと考えます。
そこで、新設分割であれば、当該登記申請をする際に、管轄法務局(当該会社の本店所在地を管轄する法務局です。港区の会社であれば東京法務局港出張所です。以下同じです。)に登記申請書の添付書類(商業登記法上は、登記申請書と添付書類を一括して「附属書類」といいます。)として、新設分割計画書・株主総会議事録・株主リスト(株主リストについては、登記相談Q&A第41回をご参照ください。)等を提出していますので、当該書類を閲覧できれば、債権回収に有益となることも少なくありません。
添付書類は、登記申請をしてから5年間、管轄法務局で保管していますので、取引先から関係資料の入手が困難な場合には、法務局での添付書類の閲覧を検討するのも一方法かと考えます。閲覧料金は、1件の登記申請に係る添付書類につき、500円です。
ちなみに、添付書類は、閲覧のみが可能であり、コピーをすることはできません。但し、デジカメ等で撮影することは認められています。
また、登記事項証明書と異なり、添付書類を保管しているのは管轄法務局のみなので、管轄法務局まで行く必要がありますから、ご注意ください(大阪が本社の会社であれば、大阪法務局まで行く必要があります。)。
中小企業では、「会社」と「個人」の区別がはっきりしていないことがめずらしくありません。手元に残したい資産については、早めに整理しておきましょう。
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