Q:M&Aで会社を譲渡した後も、
  社長が会社に残ることはできる?

 48 歳の経営者です。それなりに会社も大きくし、地方ではありますが、同業の中では中堅クラス、エリア内でも上位の規模になりました。しかし、自分の年齢と才覚を鑑みますと、もうこれ以上の事業拡大は困難であり、今後はできれば大会社の資本傘下で事業を展開、成長させていきたいと考えております。

 ただ一つ懸念しているのが、譲渡後の自分の処遇です。特に体調に問題もなく、これまでの業務経験や人脈もありますので、できれば譲渡した後も会社に残り貢献したほうがメリットは多いだろうと思っています。知人に聞くと、「M&A=引退」なのだから会社には残らないものだと言われましたが、そういうものなのでしょうか?

(広島県 Y・Kさん)

A:事業承継を目的としないM&Aの場合、
  オーナー経営者が会社に残るケースも珍しくない

 譲渡後のオーナー経営者の処遇は、ご本人のご希望だけでなく、譲り受け企業側の方針によって変わってきますので、一概には申し上げられません。しかしながら、事業承継を目的としない、例えば今回のご相談者のように大きな資本の傘下での成長を目的とされる企業譲渡においては、現経営者にM&A後も積極的な経営参画を期待されるケースは多いです。

 例えば営業が得意なオーナー経営者であれば、特定エリアの営業責任者である取締役営業部長として残り活躍する、というようなことが考えられます。例えば、オフィス向けの情報通信機器の販売・保守等を行う会社のM&Aがまさにそのケースで、創業者はM&A後、譲り受けられた企業に事業責任者的立場で迎え入れられました。

 また、ドラッグストアを経営されていた先代の急逝により、急きょ修行先から戻って後を継がれた20 歳代の2代目経営者が、大手ドラッグストアが急拡大する中で単独での生き残りは難しいと判断。業界大手に会社を譲渡した後、当時の従業員達と共に新事業開拓の最前線に立たれてご活躍されているという事例もございます。

 そのほかにも、技術畑のご出身で、ご自身も既製品・新製品の商品開発のノウハウを保有されているオーナー経営者が、譲渡企業の代表取締役を継続しつつ、兼務で譲り受け企業においても重要な技術責任者(取締役)となられたケースもありました。この方は新しいサービス・商品の開発のアイデアをたくさんお持ちであるにもかかわらず、多くの時間を会社の資金繰りなどにとられて開発にこぎ着けられないというジレンマを抱えておられました。そこでM&Aにより大手資本の傘下に入ることで、資金繰りの手間や連帯保証の重責から解放され、研究開発に集中できる状態を実現されました。