知人から「そろそろ事業承継や相続のことを考えておいたほうがいい」と言われました。私自身はまだまだ現役のつもりだったのですが、どのように考えればいいでしょうか。(相談者:63歳・会社経営)

 60代と言えば、経営者として最も脂ののった時期です。いわばピークですが、見方を変えればその後は下るだけとも言えます。急に病気になったり、万が一の時のことを考えておく必要があります。

 何の準備もなくオーナー経営者が倒れたり突然亡くなると、事業承継や相続においてもさまざまな問題が生じます。
 
 例えば民法では、相続は死亡により開始します。法定相続分は、配偶者が2分の1、子どもが全員で2分の1です。全ての相続人に権利が発生します。家族や兄弟の間でもめ事にならなければいいですが、だいたいは相続ならぬ「争族」になりがちです。特に企業の経営者の場合には、所有する株式が相続によって分散してしまう恐れがあります。
 
 税法上、相続開始を知った日の翌日から10カ月以内に相続税の申告・納税をしなければなりません。遺産分けがこじれ対応に時間が取られていると、あっという間に申告期限がやってきます。期限までに遺産分割協議が終わっていないと、減税につながる特例を受けることができなくなります。