そろそろ事業を承継することを考えなければならないと思っていますが、正直なところ、自分の息子は経営者の器ではないと感じています。息子に会社を譲る以外にどんな方法がありますか。(相談者:72歳会社オーナー)

経営環境の変化に対応できそうにないなら、M&Aで売却するのも一つの方法です。

 企業経営者にとって、次の経営者を誰にするかというのは、重要な問題です。ただ、息子さんであれ、従業員であれ、突然、「来月から経営者になれ」と言われても戸惑うだけです。後継者の育成は、数年間の時間をかけてじっくり行うことが大切です。準備が遅れれば候補者も年を重ねていきますので、時期を逃さないようにしたいものです。

 息子さんが経営者の器でないというご質問ですが、私もよくそのような相談を受けます。ゼロから起業し会社を大きくしたオーナー経営者に比べて、2代目、3代目のスキルやカリスマ性が及ばないことは珍しくありません。そのような場合には、従業員や外部から後継者を選ぶのも選択肢の一つです。息子が継いだとたんに会社が倒産したというのでは意味がありません。
 
 ここで注意しておきたいのが、事業にもピークがあり、それを過ぎれば衰退が始まるということです。グローバル化や情報化の進展に伴い、経営環境の変化のスピードが増しています。これに機敏に対応できない企業は生き残ることが難しくなります。過去の成功体験にあぐらをかいていたり、経営者に対するイエスマンばかりが集まっているようでは事業承継の成功はおぼつきません。
 
 そうした古い体質が残ったままでは、後継者が継ぐのは難しくなります。オーナー経営者の成功体験が社内に浸透しているからです。

 自社の事業はこのままでいいのかと冷静に見つめ直し、自社だけでは大きな成長が見込めなかったり、適切な後継者がいなかったりするのであれば、特定の事業を売却したり、場合によっては企業そのものを売却する選択肢も有効です。

回答者:税理士・本郷 尚/編集:M&A Online編集部

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