すでに破綻していた「高級路線」

確かに久美子社長の「カジュアルな中級路線」が顧客ニーズに合っていないのは、売上高が経営を掌握した2015年12月期の580億円から2017年12月期に410億円と、2年間で約3割も激減したことからも明らかだ。とはいえ、かつて勝久前会長が進めてきた「高級路線」が現在も通用するとは考えにくい。

そもそも大塚家具の株主が久美子社長を支持したのは、勝久前会長の「高級路線」に限界が見えていたからだ。大塚家具の業績は2003年12月期に売上高731億円、営業利益62億9000万円、経常利益64億9000万円をピークに、勝久体制のもとで下がり続けてきた。

2009年3月に久美子氏が社長に就任すると、同年12月期に売上高579億円(13.2%減)、営業利益-14億5000万円、経常利益-13億3000万円の赤字転落となったが、これは2008年9月に起こったリーマン・ショックの影響で、通年で高級品が売れなくなった景気的な要因が大きい。

大塚家具財務指標
決算2007/12期 2008/12期 2009/12期 2010/12期 2011/12期
売上高 72,770 66,804 57,925 56,912 54,367
営業利益 4,679 1,270 -1,452 -133 1,151
経常利益 4,781 1,457 -1,337 39 1,304
当期純利益 2,800 -530 -1,491 -256 204
(単位百万円)
2012/12期 2013/12期 2014/12期 2015/12期 2016/12期 2017/12期
54,520 56,231 55,502 58,005 46,308 41,080
1,184 844 -402 438 -4,598 -5,137
1,318 1,004 -242 633 -4,437 -5,145
640 856 473 359 -4,567 -7,260

勝久前会長が激しく批判する、久美子社長が打ち出した「カジュアルな中級路線」や「入りやすく、見やすい、気楽に入れる店づくり」は、少なくとも2013年12月期までは大塚家具の長期的な業績悪化に歯止めをかけている。

そもそも、リーマン・ショックの影響が3カ月間にすぎなかった前年の2008年12月期売上高が対前期比同8.1%減、営業利益が72.8%減、経常利益が69.5%減と急激に悪化していることからも、勝久前会長がこだわる「高級路線」の破綻は明らかだった。