事業譲渡はスピーディーに

-竹平さんは何章を書かれましたか。

竹平「第4章の事業再生と事業譲渡を担当した。事業譲渡はいわゆる組織再編行為ではないため、契約の中で柔軟なアレンジができる。許認可等を理由に譲渡時期などを柔軟にずらしたい場合や、事業再生などでよく使われる手続きだ。特に事業再生の局面で使いやすく、迅速性があって債権者にとってもメリットがあるので力を入れて書いた」

「一つの会社の中で、いい事業と悪い事業を取捨選択して買収できるという面がある。逆に倒産しそうな会社でもちゃんとしたやり方をすればいい部分を残して、雇用を守ることもできる」

関口「会社分割事業譲渡は何が違って、それぞれどのように使うのかということよく聞かれる。1カ月間の公告期間があるのかないのかの差が大きい。公告期間のない事業譲渡はスピーディにやれる。ただ規模が大きい事業を移す場合は分割の方が有利と思われる」

事業譲渡の場合は従業員や個々の資産を移すのに全部個別の手続きが必要。取引先との契約関係を承継するには、取引先の同意が必要となるが、この点がボトルネックになることがある。従業員に関しては承継対象となる方々全員から同意を取らなくてはならない。分割の場合は、取引先や従業員から同意を取る必要がなく、公告して異議がなければ実施できる。分割では労働契約承継の手続が煩雑だと思われることがあるが、実は決められたことをしっかりと行えばよく、従業員全員からの同意をとらなくていいので規模が大きくなればなるほど分割の方が使いやすい。無論、ケースバイケースだが、一般論としては以上のように言える。事業再生の局面からすると事業譲渡の方がいいだろう」

-山口さんは何章を書かれたのですか。

山口「私は第10章の事業譲渡と会計、第11章の事業譲渡の税務を担当した。会計と税務はプロではないので、会計士と税理士の先生に教えを乞いながらまとめた。また第9章の事業譲渡と人事・労務問題について紹介したい。2016年に厚生労働省から事業譲渡指針が出されたがこの指針について丁寧に解説ている。

 関口「事業譲渡会社分割は事業そのものを切り分けるのだが、これを契機にして労働条件を不利益に変更してしまうケースあった。このため、事業譲渡や会社分割における従業員の取扱い全般について厚生労働省がガイドラインを出した。このガイドラインをきっちりと解説した書籍これまでになかったと思う