「徹底抗戦」も可能だが…

日産にとってルノーは最大株主とはいえ、まだ同社の子会社ではない。なので日産が自社にとって不利益な提案を拒否できる。ルノーが日産に対し、会長を含むCOO(最高執行責任者)以上の役員を派遣できるとする協定があると伝えられるが、契約なので破棄は可能だ。

もちろん国際仲裁裁判所に提訴されて契約の履行や違約金をめぐる訴訟を起こされる可能性はあるが、このままでは確実にルノーの思い通りの経営統合に持ち込まれるのは確実。争う価値はある。

ルノーに残される手段は株主総会での対決だが、日産にとって不利益な内容となると、他の株主の賛同を得るのは難しいだろう。

このプランの最大のリスクは、ルノーとのアライアンス(協業)関係が間違いなく崩壊することだ。スズキ<7269>は独フォルクスワーゲン(VW)の経営支配を回避するために、同社との包括提携破棄の訴えを国際仲裁裁判所で起こす。

2015年に両社が仲裁に応じて提携は解消されたが、スズキはグローバル競争の大海に独り放り出された。同社はトヨタ自動車<7203>に資本参加を求めているが、実現はしておらず不安定な立場が続いている。

VWの経営支配から逃れたが、提携先を失ったスズキ(同社ホームページより)

ルノーとの関係見直しを強く主張する日産だが、その一方でアライアンスの継続も一貫して主張している。ルノーとの共同購買比率は70%に達しており、個別購買に移行した場合の調達コスト増だけを考えても、大きなリスク要因だ。日産としては関係解消につながりかねない徹底抗戦の長期化は避けたいだろう。