今後のM&A戦略

(1)収益性の高い事業の買収

 SMFGの中期経営計画の経営目標の一つに「健全性・収益性を維持しつつ、トップライン収益の持続的成長を実現」が挙げられている。しかし、海外経済の減速によりアジア向け融資が伸び悩んでいること、マイナス金利政策の導入などにより、銀行の収益性は低下しているのが現実である。「収益の持続的成長」を実現させるためにも、国内外問わず、収益性の高い事業を積極的に買収することが想定される。

(2)信託業務の強化

 SMFGは13年に信託銀行を買収したことで信託業務に参入し、シティグループの国内リテール事業を買収したが、SMFGの信託業務は他のメガバンクに比べてまだまだ脆弱であると言える。三菱東京フィナンシャルグループ及びみずほフィナンシャルグループの有価証券報告書では信託銀行が報告セグメントの一つとなっているが、SMFGの有価証券報告書では信託銀行が報告セグメントとなっていないことからも明らかである。主な信託銀行の資本金を比べてみると、三井住友信託銀行(資本金3420億円)、三菱UFJ信託銀行(資本金3242億円)、みずほ信託(資本金2473億円)に比べ、SMFG傘下のSMBC信託銀行は275億円と非常に小さいことが分かる。信託銀行最大手の三井住友信託銀行はSMFGと起源は同じではあるが設立の経緯から別グループを形成しており、両グループが統合することは現時点では想定しづらい。SMFGが信託業務を強化するためには他の信託銀行を買収することが考えられる。

■資本金

SMFGの財務分析

 ではSMFGの財務を検証してみることとする。

■経常収益/損益推移

■総資産/純資産推移

 SMFGが設立した03年3月期からの財務情報の中で、リーマンショックが生じた09年3月期、及び影響を受けた10年3月期に注目したい。リーマンショックが生じた09年3月期は金融危機の影響で投資家のリスク回避による株価低迷などが原因で、経常収益(売り上げ)及び利益が大幅に減少した。10年3月期においてもリーマンショックの影響で資金需要の低迷、海外投資家のリスク回避などにより引き続き経常収益は大幅に減少した。しかし09年3月期に、収益の低迷が持続することを見越して引当金を積み増したこと、厳しい経済環境を踏まえて保守的に対応するため繰延税金資産を取り崩したことなどにより、経常収益が大幅に減少したにも関わらず、10年3月期の利益は増加している。将来を見越して保守的な会計処理を迅速に行ったことで損失の長期化を防いだことがうかがえる。

 しかし、16年3月期の利益は6400億円台で、15年3月期の利益7500億円に比べ1000億円以上の減少となっている。また、これにより2期連続で前年比減少となっている。今後、将来の利益減少を防ぐため、上記のようなM&A戦略が実施されることになるであろう。

この記事は、有価証券報告書などの開示資料、また新聞報道を基に、専門家の見解によってまとめたものです。

まとめ:M&A Online編集部