森・濱田松本法律事務所はTAX LAW NEWSLETTERの2018年10月号に、アーンアウト条項付の株式譲渡で、譲渡代金のうち当該条項の対象となる部分の収入時期を、アーンアウト条件の達成時期ではなく、株式の引渡時期であると判断した国税不服審判所の裁決について解説したレポートを掲載した。

アーンアウト条項は、買収対価の一部を買収後のあらかじめ合意された目標の達成に連動させる規定を言うもので、収入時期についての取扱いが判断されたのは今回が初めて。

日本では企業買収の際にアーンアウト条項が設けられる事例が増えてきており、今後の実務において重要な裁決となりそうだ。

国税不服審判所は収入時期は株式の引渡時期と判断

レポートは「事実の概要」「裁決の内容」「本裁決を踏まえた実務上の留意点」の3項目についてまとめてあり、この中で裁決の概要、裁決が与える実務上の影響を説明するとともに、裁決の争点に関連して、有価証券の譲渡損益の計上時期と停止条件の関係についても言及した。

アーンアウト条項は、売主と買主が買収対価に関して容易に合意できないような場合に、買収対価の一部を、買収後の業績に連動させることにより、取引を成立しやすくするという機能がある。

今回の事例では5年間の業績目標と連動して買収対価を支払うことになっていた。このため実際に収入のあった2年分を遡って修正申告して納税したところ、国税庁から5年分全額を納税するように、更正処分と過少申告加算税の賦課決定処分がなされた。

このことを不服として、国税不服審判所長に審査請求を申し立てていたもので、株式譲渡代金のうち調整条項の対象となる部分の収入時期がいつになるのかが争点となった。

 国税不服審判所は譲渡代金のうち、アーンアウト条項の対象となる部分の収入時期は、アーンアウト条件の達成時期ではなく株式の引渡時期であると判断した。

原則はアーンアウト条件の達成時期を損益の計上時期と考えるべき

これについて同レポートでは「今回の事例が必ずしも一般的なものとはいえないことを踏まえると、本裁決の射程は限定的にとらえるべきであると考えられる」とした。 

そのうえで、「アーンアウト条項付の株式譲渡においては、原則としては、当該条項を停止条件と解した上で、アーンアウト条件の達成時期を損益の計上時期と考えるべきであると思われる」と結論づけている。 

詳細はTAX LAW NEWSLETTERの2018年10月号へ。

文:M&A Online編集部