税金のことだけのストラクチャーはだめ

-国税当局がそのような姿勢になってきたということは、今後も申告漏れの指摘が増えるということでしょうか

「複雑困難なものについても積極的に取り組んでいくという国税当局の方針からすると、海外企業の買収などについては税務調査が行われる可能性が高いだろう」

-ところで、大手検索サービス会社に対する判決とはどのようなものなのですか。

「大手検索サービス会社が繰越欠損金を抱える企業を買収し、そのあと合併するという取り引きをした。繰越欠損金を持っている会社を買収して合併した時に、繰越欠損金を引き継いでいいのかどうかが問題になった。最高裁判決では繰越欠損金を引き継ぐ要件を満たす目的で行われた行為であって、法人税の負担を不当に減少させる結果となるとして、組織再編に関する包括的な否認規定の適用が認められ、企業側が敗訴した」

 -この判決が出たことで、国税当局が判断しやすくなったということですか。

「判断基準が明らかになったので、そういう側面もあると思う」

 -海外企業の買収が増えています。企業としてはどのような体制で臨めばよいでしょうか。

「企業側の対応策には事前と事後がある。事前のストラクチャー(構造)を考える時に、無数のやり方がある中で、一つを選択するわけだが、税金のことだけを考えてストラクチャーを構築すると否認される可能性が高まる」

「個々の取り引きを組み合わせるのであれば、それぞれに合理性があり、ビジネス上必要な取り引きであるということを説明できるかどうかがポイントとなる。ストラクチャーを組む際は税務部門だけでなく、法務部門や弁護士などが加わるのがよいだろう」