Cash Free Debt Free Value(企業価値をベースにした買収価格)の必要性

特にクロスボーダー案件では、各国の税法の違いや現預金の定義の違い、有利子負債の性質の違いなどにより、前述の「国家、貸付債権者、株主」の3者に帰属する価値の分け方(ホールケーキへのナイフの入れ方)も異なる場合が多くなります。従って、まず「ケーキの大きさを決める」ため、Debt free Cash free での明確な価値合意を目指す必要性が非常に高くなります。

これをきちんと合意しないと、オーナー株主への多額の配当行為、本業と関係のない多額のLBOローンの扱い、運転資金の恣意的な変動、オーナーによる会社貸付の扱い、などで祖語が生じ、当初想定していなった思わぬ高値での買収を余儀なくされるリスクすらあります。最後に、冒頭で述べた様々なM&Aニュースの話に戻ります。

こうしたニュースでは、多くの場合「株式取得価格」といった記載で、買収価格が株式取得総額を示しているケースが多いようです。しかし、中には企業価値を示しているか株式価値を示しているか、判然としない場合もあります。

M&Aの価格についてのニュースや公表情報に触れる場合は、それが「ホールケーキの大きさ」(企業価値)を指すのか、「株主に配られるケーキの大きさなのか」確認しながら読み進めると、ディールのより深い理解につながると思われます。

本記事は、IGNiTE PARTNERS ホームページより転載しております