これまで計10回にわたり、様々な企業価値の評価手法について数値例を用いて解説してきた。最終回の本稿では、それぞれの評価法についておさらいする。

企業評価アプローチは3つに大別される

まず、企業の価値を評価するには、「マーケットアプローチ」、「インカムアプローチ」、「ネットアセットアプローチ」の3つの評価アプローチがあった。

三つの評価アプローチの一般的な特徴
日本公認会計士協会「企業価値評価ガイドライン」P.27 図表Ⅳ-3 三つの評価アプローチの一般的な特徴より引用

本連載で取り扱った評価アプローチと評価法

評価アプローチ代表的な評価法特徴
マーケットアプローチ市場株価法、類似上場会社法、類似取引法、取引事例法上場している同業他社や類似取引事例など、類似する会社、事業、あるいは取引事例と比較することによって相対的に価値を評価する
インカムアプローチフリー・キャッシュ・フロー法、調整現在価値法、残余利益法、配当還元法会社から期待される利益、あるいはキャッシュ・フローに基づいて価値を評価する
ネットアセットアプローチ簿価純資産法、時価純資産法(修正簿価純資産法ともいう) コストアプローチとも呼ばれ、会社の貸借対照表上の純資産に注目する

評価法の選択に当たっては、企業価値評価を取り巻く環境、業種的な特性等によって評価アプローチを決定することになるが、企業のライフステージにより適用する評価法も変わってくる。

企業のライフステージから見た評価法

企業のライフステージ(サイクル)
M&A Online編集部作成
創業期類似上場会社が存在している場合、マーケットアプローチが適していると考えられる。
成長期株式公開を目指している会社であれば、マーケットアプローチも考えられるが、企業の将来の収益性を反映させるという点からは、インカムアプローチが適しているといえるだろう。この時期の企業は、ネットアセットアプローチでは過小評価になり、企業の将来性を適正に評価できない可能性もある。
成熟期・衰退期企業の継続性が問題となる場合もある。マーケットアプローチインカムアプローチは企業の継続を前提とした方法であるため、会社の継続性に問題がある場合の適用には注意が必要である。従って、ネットアセットアプローチが適していると言えるが、収益性の低い企業の場合、純資産に過去の利益が積み上がっていると過大評価となり、企業価値が適正に評価できない可能性もある。